本研究の目的は、貧困地域でかつ観光未開発地域であるバングラデシュ人民共和国テクナフ半島の複数の集落において、特徴を有する生業に着目し、有形・無形の遺産を総合的に把握することで持続可能な観光開発の資源として価値付けることである。具体的には以下の4 点、すなわち、①テクナフ半島全体の景観構造の解明(景観構成要素と空間構成の分析)、および、文化的景観構成要素としての②農業集落の遺産価値、③漁業集落の遺産価値、④塩田集落の遺産価値、に着目した調査・分析を実施することで、テクナフ半島全体の文化的景観としての遺産価値を明らかにする。またさらに、上記の成果を考察し、地域景観を持続可能な観光開発に活用可能な文化遺産として評価する研究手法としての本研究の妥当性及び応用性を検証する。
本年度は、日本人が殺害されるなど、バングラデシュ国内の治安が不安定になったため、他の文化的景観サイトの調査や、ユネスコ本部での資料収集を行った。
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