研究課題/領域番号 |
25360012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大谷 順子 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (90403930)
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研究分担者 |
大杉 卓三 大阪大学, 未来戦略機構, 准教授 (10380677)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域研究 / 中国 / 内陸アジア / 自然災害 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
本研究の目的として、中国の四川省と新疆ウイグル自治区を中心とする内陸地域を対象として、被災地の災害復興の状況を、住宅を含めた「生活の再建」と「地域コミュニティ再建」に焦点を当て調査を行ってきた。この調査は、人間の安全保障(非伝統的安全保障)の概念による社会開発フレームワークを用いた内容である。8月には、広大な四川被災地のなかでもとくに北川県において現地調査を行った。また9月に新疆ウイグル自治区における調査も行った。 四川大地震後、壊滅的な被害が受けた北川県は「震災遺跡」として保存され、「北川国家地震遺跡博物館」を建設した。住民はそこから20キロ離れた「新北川」と呼ばれる場所へ集団移住することとなった。設計企画書により、北川国家地震遺跡博物館は記念、災害教育、展示、宣伝と研究などの機能を持っている。被災地観光による町おこし、地域創生が政府の政策として進められている。また、ディザスターツーリズムを通じて行われる災害教育の状況を了解するため、被災地の住民(震災遺跡に隣接した地域で暮らす住民)、「新北川」の住民、北川県を訪れる観光者、震災遺跡の職員と地震博物館の職員を対象に、半構造化インタビュー調査を行った。 研究の成果は、国際開発学会や日本災害復興学会において発表し、意見交換を行った。また、査読付きの学会誌である『日中社会学研究』誌に、「中国四川省北川県におけるディザスターツーリズム開発に関する研究―災害教育を中心に―」という論文を投稿し、また、「新疆ウイグル自治区の漢語教育に見る言語とアイデンティティの関係」という論文を『21世紀東アジア社会学』に投稿し、それぞれ2016年中に刊行予定の号に掲載が決まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
四川被災地における現地調査を行った。また新疆ウイグル自治区における調査も行った。学生を同行し若手の育成の機会とした。それぞれ、『日中社会学研究』誌、『21世紀東アジア社会学』へ論文投稿し、掲載が決まっている。 研究代表者が9月に大学副理事に就任したため、また、四川の現地調査をする予定の院生が休学したため、後半に予定していた現地調査ができなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者が9月に大学副理事に就任したため、また、四川の現地調査をする予定の院生が休学したため、後半に予定していた現地調査ができなくなった。しかし、6月の国際老年連盟の災害学会において、四川の研究連携者らと一緒に企画セッションを行い、成果発表とし有効な活用を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
四川大地震被災地で現地調査をする予定であった院生が休学することになり、現地調査を遂行できなかった。また、代表者が、8月末の所属機関の総長交代と執行部体制の変更により9月から管理職に就いた新体制の立ち上がりの時期のため、海外出張の調整がうまくできなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究代表者が国際運営顧問委員を勤める国際老年連盟世界大会が6月に開催されるが、その大会テーマが災害であり、四川やオーストラリア、ニュージーランドの先生方とともに特別企画セッションを開催することができるようになったので、そこで本研究の成果発表をし有効に使う。
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