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2013 年度 実施状況報告書

ウルグアイのポスト移行期正義における記憶闘争とその政治利用

研究課題

研究課題/領域番号 25360014
研究種目

基盤研究(C)

研究機関和歌山大学

研究代表者

内田 みどり  和歌山大学, 教育学部, 准教授 (10304172)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード移行期正義 / ポスト移行期正義 / 歴史的記憶 / ウルグアイ / 2つの悪魔説 / 軍政期人権侵害 / 失効法 / ウルグアイ大統領選挙
研究概要

1、アルゼンチンで「2つの悪魔」説が否定されていった過程については、先行研究の収集に努めたが、十分分析するにいたっていない。
2、ウルグアイにおけるポスト移行期正義の現状については、2013年以降、軍政期人権侵害問題に対する司法権の「冷淡」ともいうべき姿勢が目立ってきた。例えば、訴追に熱心であったモタ判事の配置換え・失効法時効不適用法への違憲判決(2013年2月)、軍人訴追にかかわって軍政期人権侵害問題を追及してきた記者への情報源開示請求(2013年3月)などがおきている。
3、軍政をめぐる記憶の戦いでは、2013年5月に元政治囚の会(CRYSOL)が1973年にクーデターが起きた6月27日を記念日化するよう求めたことが注目される。
4、2014年は大統領選挙の年で、各党は党内予備選挙に向けて正副大統領候補を絞りつつある。コロラド党はクーデター時の大統領の息子ペドロ・ボルダベリが、国民党は新自由主義的政策を進めたラカジェ元大統領の息子ラカジェ・ポウが有力である。一方、拡大戦線はバスケス前大統領が「公式推薦候補」であるが、副大統領候補にはムヒカ現大統領夫人のトポランスキ(元ゲリラ)やツパマロス創始者の同名の息子ラウル・センディックの名が挙がっている。軍政期人権侵害問題は表立った争点にはなっていないが、ラカジェ・ポウが「当選したら行方不明者の遺体捜索のための発掘は中止する」と発言したことからみて、大統領選挙の結果がウルグアイのポスト移行期正義と記憶闘争に影響を与える可能性があるといえよう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

教育業務・学部内委員会の業務に予想以上に時間をとられ、アルゼンチンに関する先行研究の整理がまだできていないことが、遅れていると判断する最大の理由である。

今後の研究の推進方策

1、2014年8月後半~9月前半に予定している現地調査までに、アルゼンチンに関する先行研究を整理して、2つの悪魔説が否定されていったプロセスを検証する。
2、現地調査では、歴史家等の識者調査、被害者団体とくに被害者の子供世代の団体への聞き取りを行う。
3、最高裁の「保守化」に注目し、その原因や記憶闘争への影響を考察する。
4、2014年3月、ムヒカ大統領は米にたいし、グアンタナモ基地に勾留されている人の受け入れに同意した。バッジェ元大統領などはこれに批判的である。グアンタナモの問題とウルグアイの記憶闘争がリンクする可能性はあるか、注視する。

次年度の研究費の使用計画

物品費は主に書籍購入にあてているが、書籍の価格はまちまちで、しかも1円の位で半端な数になるため、受領額と同じだけ支出することが難しく、残額が生じてしまった。
残額は次年度の物品費と合算し、研究テーマにかかわる新刊書の購入にあてたい。

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公開日: 2015-05-28  

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