研究課題/領域番号 |
25360018
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
乾 美紀 (寺尾 美紀) 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10379224)
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研究分担者 |
野津 隆志 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (40218334)
正楽 藍 香川大学, 学内共同利用施設等, 講師 (40467676)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 移動労働 / 越境児童 / 教育支援 / 国際支援ネットワーク |
研究概要 |
本研究では、タイ隣国(ミャンマー、ラオス、カンボジア)から労働移動のためタイに流入している子どもへの教育課題を明らかにし、彼らの教育支援のためにどのような国際支援ネットワークが形成されているかについて明らかにすることである。初年度の計画は、各国の調査サイトの調整、調査協力の依頼、基礎情報の収集を行うことであった。特に、労働者の送り出し側(ラオス・カンボジア)から労働移動の問題を検討し、労働移動のために子どもに生じている問題や、教育支援のネットワーク形成について調査を行った。その中で明らかになったのは、家族を伴ったタイへの移動というよりも、子ども自身が人身取引や児童労働のために国境を越えるケースが目立つことである。つまり、子どもを学校に行かせる以前の「子どもの人権問題」が存在しているのである。 子どもが労働移動の対象になることが多いため、教育に関連する事項として、防止教育が注目され、多数のプロジェクトが実施されている。その仕組みとして、UNIAP(国連プロジェクト機関)がコーディネーターとなり、国際NGO、政府機関が連携し、国レベルではYouth Programの開催、マスメディアによる啓蒙活動を実施している。また村レベルでは国際・ローカルNGOとコミュニティ・学校が連携して教員や生徒を研修し、Peer Educationを重ねることにより、人身取引の被害に遭わせないための取り組みがなされていることが明らかになった。 初年度のため、研究業績に関しては、それぞれのフィールドで実施してきた教育に関する調査を整理して出版することに力を入れた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本調査は2009年より主にラオスとタイで予備的な調査を行っており、既にネットワークを保持していたために、調査の調整などを順調に進めることができた。しかしながら、家族を伴ったタイへの移動が多いと推定してたのに対して、現地(ラオス・カンボジア)で調査をしてみると、携帯電話が普及していること、家族帯同には経済負担がかかるという理由で、子ども自身が人身取引や児童労働のために国境を越えるケースが目立った。そのため、当初の目的から少し離れて、子ども自身への教育支援について深く追究することが必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
実際に多発している児童労働・人身取引については、特に防止教育をめぐる支援ネットワークの形成を明らかにしていきたい。このことに加えて、本来の研究対象であった「親の労働に伴う子どもの移動」に注目しなおすため、前年度とは調査地を変えて、研究課題を明らかにすることを試みる。具体的には、ラオス・カンボジアにおいて、タイへの移動労働が最も多い国境地域において、越境労働の状況、子どもの移動、子どもに対する教育支援(不就学対策、教育アクセス改善など)の調査を行うこととする。特に2014年度の夏には、ラオスの中でもタイへの移動が最も多いサワナケートにおいて調査村を絞り、村長、村人などに労働移動や子どもの教育関するインタビュー調査を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費が思ったよりも安くついたため、差額が生じた。 次年度のタイーラオス国境における現地調査において、2名の現地協力者を雇用するため、人件費・謝金として使用を計画したい。
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