本研究の成果は3点ある。第1はアセアンにおける労働搾取型の人身取引の実態を考察できたことだ。特にタイ、ミャンマー、カンボジア、ラオスなど多国籍の労働者を乗せた漁船での労働搾取はシーフードのサプライチェーンを通して先進国の消費者も関与しており、人身取引はビジネスと人権課題で看過できない。第2に被害者支援に有効な、当事者による自助活動(Aモデル)と支援者らによる地域密着型活動(Bモデル)を提示したことである。 第3は新たな知見である。社会的に脆弱な若者は人身取引のリスクが高い。被害に遭う危険軽減のためのケイパビリティを伸張するアプローチなど、18歳で子どもと大人を分けずに若者の支援の必要を理解した。
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