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2015 年度 実施状況報告書

中国東北部における韓国系独立運動関連史跡の観光地化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25360029
研究機関立命館大学

研究代表者

佐々 充昭  立命館大学, 文学部, 教授 (50411137)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード満洲国 / 朝鮮民族独立運動 / 大韓民国臨時政府 / 大韓民国臨時政府庁舎旧址 / 尹奉吉 / 尹奉吉記念館(梅園) / 韓国光復軍 / 韓国光復軍第二支隊駐屯地旧址
研究実績の概要

平成27年度は、主に中国吉林省内にある旧満洲国関連史跡の調査を行った。1932年3月中国東北部に日本の傀儡国家として満洲国が建国されると、同地域における抗日独立運動は著しく困難な状況におかれた。本年度は、長春市と吉林市にある旧満州国関連史跡の現地調査を行いながら、1930年代以降、中国東北部において満洲国がとった朝鮮民族独立運動に対する弾圧・懐柔政策に関する研究を行った。また、その成果を国際学会で発表し、学術論文としてまとめた。
その他、本年度は1930年代以降における右派民族主義系統の抗日独立運動の様相を調べるために上海市と西安市にある大韓民国臨時政府関連史跡に関する調査を行った。1932年4月に上海の虹口公園で行われた天長節祝賀式典会場に爆弾が投げこまれ、陸軍大将白川義則ら多数の日本人が死傷する事件が起こった。この事件を起こしたのは、大韓民国臨時政府主席である金九が組織した韓人愛国党に所属する尹奉吉であった。これを契機に、それまで有名無実化していた大韓民国臨時政府は活発な抗日運動を展開し、1941年に太平洋戦争が勃発すると、大韓民国臨時政府側は中国国民党の傘下で光復軍を組織するに至った。これら大韓民国臨時政府関連史跡は現在、韓国人旅行者たちが頻繁に訪れる著名な観光コースとなっている。韓国の朴槿恵大統領が2015年9月に中国で行われた「抗日戦争勝利70周年」の記念行事に参加した際には、上海市内にある大韓民国臨時政府庁舎旧址が新たにリニューアルされ、朴槿恵大統領がここを直接訪問している。本年度は、中国東北部における抗日民族独立運動関連史跡との比較を行うために、上海市内にある大韓民国臨時政府庁舎旧址と魯迅公園(旧虹口公園)内にある尹奉吉記念館(「梅園」と通称)、および西安市長安区杜曲鎮にある韓国光復軍第二支隊駐屯地旧址を訪問し、現地調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた現地調査はすべて終了した。本年度は東アジア全体の政治・経済情勢が大きく変化した。それまで順調に推移してきた中国経済に陰りが見え始めた一方、2016年1月に行われた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験に対する対応をめぐって、中韓関係・日韓関係が大きく変化を遂げつつある。本研究と直接関連する歴史認識問題に関しても、2015年末に日韓の政府間で従軍慰安婦問題に対する政治的な妥結が行われるなど、中国と韓国が日本に対して共闘的な姿勢をとるという従来の在り方に変化が見られるようになった。最近の急変する東アジアの政治・経済情勢が、今後、観光(ツーリズム)をめぐる中国と韓国との関係、さらには中国内における韓国人観光客の動向にどのような変化をもたらすのか注意深く見据えるために、現地調査の成果を論文としてまとめる作業は慎重に進めることにした。

今後の研究の推進方策

予定していた現地調査はほぼ終了した。今後は、変容する東アジアの政治・経済情勢の在り方を慎重に見据えながら、現地調査で得た研究成果を学術論文としてまとめる作業を行っていく。国際的な学術ネットワークを活用して、韓国語や中国語での論文発表を行い、研究成果の国際的発信を図っていく。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた研究成果の発信が遅延しているため。

次年度使用額の使用計画

論文執筆のための関連資料の購入、および研究成果を国内・国際学会において発表するための費用として使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 近代日本の大アジア主義と大同思想-満州国の「王道主義」を中心に-2016

    • 著者名/発表者名
      佐々充昭
    • 雑誌名

      韓国宗教

      巻: 第39輯 ページ: 95-126

  • [学会発表] 東アジア共同体形成のための文化的共通性は存在するのか?―現代日本の韓日比較文化論を中心に(韓国語)2016

    • 著者名/発表者名
      佐々充昭
    • 学会等名
      聖公会大学校『アジア共同体論』
    • 発表場所
      聖公会大学校(ソウル特別市・韓国)
    • 年月日
      2016-03-24
    • 招待講演
  • [学会発表] 近代日本の大アジア主義と大同思想-「満洲国」の王道主義を中心に(韓国語)2015

    • 著者名/発表者名
      佐々充昭
    • 学会等名
      韓中日国際学術大会:グローバル時代韓国的価値と文明研究-東アジア大同思想と平和共同体
    • 発表場所
      圓光大学校(全羅北道益山市・韓国)
    • 年月日
      2015-10-23
    • 国際学会
  • [図書] 『近代韓国と日本の公共性構想(2)』(韓国語)2015

    • 著者名/発表者名
      朴光洙、辛炫承、朴孟洙、李賛洙、石井剛、北島義信、佐々充昭、柳生真
    • 総ページ数
      228(147-176)
    • 出版者
      韓国学中央研究院出版部

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公開日: 2017-01-06  

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