研究課題/領域番号 |
25360036
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
佐藤 創 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター南アジア研究グループ, 研究グループ長代理 (40450514)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インド / 南アジア / 公益訴訟 / 環境 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
三年度目である平成27年度においては、初年度に実施した数多ある公益訴訟についての訴訟形式および訴訟内容という観点からの整理を前提として、二年度に実施する予定としており進行のやや遅れていた、インド社会経済への影響を考察するためのケースの選定と他国との比較を継続して行い、かつ、三年度目に予定していた、研究発表や研究交流を通じての発見および知見のクロスチェック・再吟味作業を、並行して行った。具体的には、以下のとおりである。 第一に、二年度目から継続して行っている、深く掘り下げて検討すべき公益訴訟の絞り込み作業としては、①産業への影響が大きいケースとして、大気・河川汚染(製造業・都市ごみ処理)に関わるケース、②社会的な影響が大きいケースとして、司法の独立に関わるケース、③社会的弱者層の公共サービスに関わるケースとして、飲料水や食糧へのアクセスに関わるケースを選定して、調査を進めた。このうち①については引き続き調査を行う必要があり、②と③については、すでに研究成果をまとめる段階にある。 第二に、社会的弱者層のための司法積極主義という根拠により展開されてきた公益訴訟が、台頭する中産階級の利害に寄り添う形に変質してきたのではないか、という本研究を進める中で気が付いた論点についても、引き続き調査を進めた。 第三に、上記第一、第二についての研究成果を、内外の学会で発表して、識者からのフィードバックを得て、また論文としてまとめる作業を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査の実施過程で、インド公益訴訟について新たな展開が起きつつあるという新たな感触をえて、その確認検討を行い、ケースの選定基準を再考する必要が生じたため、二年度目(平成26年度)分の実施状況にて、達成度が「やや遅れている」と報告した。三年度(平成27年度)には、この遅れを完全に取り戻すことはできなかったために、一年延長して平成28年度も調査を遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成28年度においては、第一に、選定したケースについて現地調査を引き続き実施して研究を進めること、第二に、インド公益訴訟の社会的意義の歴史的な変容についての考察を引き続き進めること、第三に、その発見を国内外の学会にて発表し、研究を深めることを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
三年度目に予定していた現地調査の一部を実施できず、一年研究期間を延長して4年度目に実施することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
おもに現地調査のために使用する予定である。
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備考 |
解説記事、佐藤創「インド:岐路に立つ司法積極主義(1)、(2)、(3)」をアジア経済研究所のウェブサイト (http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Asia/Radar/index.html) に掲載した(2016年3月、謝辞の記載有り)
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