本研究はインドの司法積極主義を可能にしている公益訴訟の条件とその社会経済的影響を検討した。主な成果は、第一、社会的弱者層の権利保護のために開始された公益訴訟も誕生から30年余りを経て社会一般の公共問題を中心とするに至っており、弱者層の利害に反する判決すら散見される段階にあるが、これは公益訴訟が訴訟手続を柔軟化してきたために生じている。第二、経済的合理性に加えて環境権や生命に対する権利などを充実させる役割を公益訴訟が果たしてきたことも確かである。第三、公益訴訟の制度的基礎は強いことが確認され、今後もインドの社会発展において重要な役割を果たしていくと考えられる。
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