本研究は、インドにおいて近年急増する低所得地域農村からの出稼ぎ労働移動が農村労働市場にもたらしたさまざまな変化を検討し、農村の経済格差に与えた中期的な影響を分析するものである。研究代表者が過去(2008-09年、2011-12年)に調査したインドの最貧困州であり最大の季節労働者送り出し州でもあるビハール州の農村を2014-15年に再調査し、出稼ぎ労働(経験)者の多い地域とそうでない地域、また出稼ぎ労働(経験)者のいる世帯とそうでない世帯の経済水準とその変化を検証する。これらの分析において、出稼ぎ労働移動が農業・非農業労働賃金の動向や女性の労働力参加などの農村労働市場に与えた影響に注目し、経済格差を生み出すメカニズムを明らかにするものである。初年度は、主に農村調査の準備を行った。
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