研究課題/領域番号 |
25360037
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
辻田 祐子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究員 (60466068)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 労働移動 / 経済格差 / インド |
研究実績の概要 |
本研究は、インドにおいて近年急増する低所得地域農村からの出稼ぎ労働移動が農村労働市場にもたらしたさまざまな変化を検討し、農村の経済格差に与えた短中期的な影響を分析するものである。 具体的には、インドの最貧困州であり最大の季節労働者送り出し州でもあるビハール州の農村を調査し、出稼ぎ労働(経験)者の多い地域とそうでない地域、また出稼ぎ労働(経験)者のいる世帯とそうでない世帯の経済水準とその変化を検証する。これらの分析において、出稼ぎ労働移動が農業・非農業労働賃金の動向や女性の労働力参加などの農村労働市場に与えた影響に注目し、経済成長下での経済格差を生み出すメカニズムを明らかにするものである。 2015年度は本研究3年目に当たり、2011-12年度に調査を行った5県20村1000世帯、およびそれらの世帯を再訪問した2013-14年度調査1050世帯(再訪問できたのは986世帯、うち41世帯の分割により世帯数増加)の分析を進めた。暫定的な分析結果は、次の通り。(1)出稼ぎ労働者のいる家計は微増しており、メディアなどでしばしば報道される農村雇用保障事業(通称MGNREGA)により出稼ぎ労働者が減少している可能性は少ない、(2)出稼ぎ労働者の増加と賃金の因果関係は明らかでない、(3)男性の出稼ぎ労働による送金によりもたらされた所得上昇により一部の社会階層の女性労働力率が低下している、ことなどが挙げられる。 来年度はこれらの分析結果を詳しく検証するために、現地での定性調査を中心に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2015年10~11月に調査地で州議会選挙が実施され、選挙前の9月から農村部に入ることができなくなった。また、選挙後しばらく農村部での治安が悪化して、調査ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度に農村でのフォーカス・グループ・ディスカッションなどの定性調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
州議会選挙とその後の混乱により農村に入ることができなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に農村調査を行う
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