研究課題/領域番号 |
25360038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鳥山 まどか 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (40459962)
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研究分担者 |
松本 伊智朗 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20199863)
藤原 里佐 北星学園大学短期大学部, 生活創造学科, 教授 (80341684)
中澤 香織 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (80640474)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 女性 / 権力関係 / 貧困 / 家族 / ケア |
研究概要 |
・本研究の目的は、貧困にある女性が家族形成やケアをどのように行っているのか、また、そこに困難があるとすればそれはどのようなものであるのかについて、実証的に明らかにすることである。 ・25年度は、26年度以降に実施する具体的な調査の準備段階として、女性の権力の問題と貧困の問題をつなげて考えるための理論的枠組みに関する議論を行ってきた。その一環としてイギリス調査を実施した(鳥山・松本・中澤および北海道大学大学院博士後期課程の保田真希)。イギリス調査では、フラン・ベネット氏(オックスフォード大)、デビット・ピアショ氏(ロンドン大)への訪問と討論を行った。また、オックスフォードでは、地域の女性の問題に取り組む複数の機関・施設を訪問し、スタッフへのヒアリングを行った。 ・オックスフォードで訪問した機関・施設は次の通りである:Agnes Smith Advice Centre(借金問題の相談支援)、Refugee Resource(イギリスに亡命した家族・女性への相談支援)、Oxfordshire Domestic Abuse Service(DV被害女性の保護)、オックスファム、Grandpont(チルドレンズセンター)。 ・国内調査としては、B県の母子生活支援施設職員へヒアリングを行った(中澤)。 ・また、25年度は別予算にて、北海道内のひとり親世帯の生活と意識に関するアンケート調査(鳥山・松本・中澤が北海道民生委員児童委員連盟『ひとり親家庭(父と子・母と子の家庭)の生活と意識に関する調査報告書』2013年の各章を執筆)、C市の保育所利用世帯への子育てに関するインタビュー調査(鳥山・松本・藤原・中澤)を実施した。これらの調査を通じて、女性のもつ権力と家族形成過程・ケアの関係について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度はイギリスでの調査に加え、日本において予備調査を実施する予定であった。イギリス調査は当初の予定通り遂行できたが、この調査と議論に予算と時間を要した。日本での調査は26年度より開始することになる。ただし、26年度に予定している母子生活支援施設を対象とした予備的調査については25年度に実施済みである(中澤)。なお、研究代表者と分担研究者は、25年度に別予算で実施した2つの調査(北海道内のひとり親世帯の生活と意識に関するアンケート調査、道内C市の保育所利用世帯への子育てに関するインタビュー調査)にそれぞれ携わっており、これらの調査を通じて本研究のための議論はすすめられている。
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今後の研究の推進方策 |
・25年度と同様にイギリス調査を実施し、フラン・ベネット氏との議論を継続する。また、ベネット氏が運営に携わっているAgnes Smith Advice Centre(借金問題に関する相談支援にあたる民間機関)における実際の相談場面への参与観察をあわせて行うことで議論を深める。 ・26年度の国内調査は、母子生活支援施設で実施することとする。A県内のすべての母子生活支援施設を対象に、①過去10年間の入居者名簿調査、②DV被害女性への支援に関する調査、③母親へのアンケート調査、④職員へのインタビュー調査を実施する。 ・①では入居者の経年変化を把握する。②ではDVに関する一時保護と支援の現状を把握する。③では女性たちの家族形成とケア、そこで経験した困難について、女性の持つ権力に注目しながら明らかにする。④では職員の持つ家族観・ジェンダー観を捉え、そうした家族観やジェンダー観が支援のあり様に影響するとすればそれはどのような場面においてかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品(USBメモリ等)を当初の見積もりより安価で購入できたため。 26年度は国内調査を予定しており、この調査に係る消耗品費について、次年度使用額を26年度使用額に合わせて使用する予定である。
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