研究課題/領域番号 |
25360038
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鳥山 まどか 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40459962)
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研究分担者 |
松本 伊智朗 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20199863)
藤原 里佐 北星学園大学短期大学部, その他部局等, 教授 (80341684)
中澤 香織 旭川大学, 保健福祉学部, 教授 (80640474)
吉中 季子 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (70434800)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 女性の貧困 / 母子生活支援施設 / 権力関係 / ケア |
研究実績の概要 |
女性の貧困とケア、ケアをめぐる権力関係の関連について考察するために、北海道内のすべての母子生活支援施設(10施設)を対象とした2種類の調査を実施した。 1 施設調査:「平成26年度全国母子生活支援施設実態調査」の調査内容から北海道の回答を再集計し、全国との比較を行った。北海道の施設は①設置・運営の主体が全て民間、②入所期間が比較的長期、③施設の規模に対して職員数がやや少ない、④夜間の宿直体制と緊急一時保護の実施が少ない、⑤利用者である母親の就労は全国に比べ安定傾向にある、⑥母親が障害を持つ割合が少ないという特徴が見られた。 2 利用者調査:10施設のすべての母親を対象とした無記名アンケート調査である(回収率84.8%、回答票数144)。調査項目は、母親と子どもの状況(年齢、健康状態等)、就労状況、家計の状況、子育ての様子、これまでに経験した困難、施設での生活、施設への要望からなる。母子生活支援施設での支援のあり方を検討する際の基礎的資料を提供するために、利用世帯の生活の現状を明らかにし得る調査項目を設定した。同時に、権力関係との関連で女性が経験する困難についての考察を可能とする実証データを得ることも重視した。人生の各期で身近に暴力を経験した女性がいた。20歳までの時期に、虐待を受けた経験のある人、両親の間の暴力を目撃した経験のある人が各3割いた。子どもの父親と生活を共にしていた時期には、6割が子の父から暴力・暴言を受けた経験があり、4割が過度の干渉や束縛の経験、45%が生活費を入れてもらえなかった経験がある。父から子への暴力・虐待も2割が経験している。こうした現状から逃れ、「安心・安全」を求めて施設の利用を開始している人が多かった。また、現在の家計管理や子育ての状況から、限られた資源(貨幣・時間)が子ども中心に配分され、自身への配分が不十分になっていることが明らかになった。
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