研究実績の概要 |
平成28年度は、夫の家事参加が妻の出産意欲、就業継続意欲や昇進意欲にどの程度の影響を与えるか、を中心に研究を行った。関連するテーマでの学会発表はARAHE(Takahashi & Nakajima,5月、韓国:夫が家事・子育てに関与すると、両行為とも妻は負担が軽くなったと実感するが、妻の出産意欲に有意に影響を与える変数は家事で、子育ては有意ではない)、NCFR(Takahashi, Kurokawa, & Kuramoto, 11月、ミネアポリス:夫の料理遂行意欲に有意なプラスの影響を与えるのは、自分は家族のために料理を提供できる、という意識である)、IFHE(Takahashi & Fujii,3月、アイルランド:夫が家事を分担し、家族の役にたっていると思えることで、自身の心理的幸福感にプラスの影響を与えている)で行った。現在、NCFRで発表した内容の学会紙投稿原稿にむけて修正中である。 父親が子育てといった楽しい仕事ではなく、家事というエンドレスで評価されることの少ない、しかしながら生活を営む上では欠かせない仕事に携わることを、「当たり前」となることは、父親自身の心理的幸福感を高め(Takahashi & Fujii 2016)、妻の出産意欲や継続就業意欲を高める(Takahashi & Nakajima 2016)。 家族システム論に基づけば、子どもへの影響もあるはずである。父親の家事参加や子育て参加が子どもの社会性(協調性や自己表現)にどのような影響があるか、プロセスや影響力の大きさを引き続き検討することが重要である。
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