研究課題/領域番号 |
25360042
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三枝 麻由美 名古屋大学, 男女共同参画室, 助教 (10359664)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 男女共同参画 / ジェンダー / フランス / スウェーデン / 社会変容 |
研究実績の概要 |
本研究の三年目にあたる平成27年度は、下記の点を行った。 ① 既存研究調査(男女平等参画に関するフランス、スウェーデン、日本に関する文献調査)、② 日本、スウェーデンにおけるインタビュー調査(男女共同参画に関わる研究者、女性団体、行政組織を訪問し、インタビュー調査の遂行)日本では9名にインタビューを行った。スウェーデン調査は2月に行い、ストックホルムおよびルンドにてインタビュー調査を行った。インタビューのデータのテープ起こしを外注に依頼した、③ 本研究の中間発表(6月20日 ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク「働く女性の教養講座」および2月16日 ルンド大学(スウェーデン)アジア研究科においてGender Equality in Japanの講義)
これらの研究活動から、現在導き出せている分析は以下である。 1990年代半ばから、ジェンダーポリティクスにおけるパラダイム・シフトが起きている。冷戦以後、グローバル社会化が進展していく過程で、国連の多くの会議において、ジェンダー平等が重要なキーワードになっている。また、EU統合もヨーロッパにおけるジェンダー平等の標準化に寄与している。ジェンダー平等がグローバルな概念になる中で、これまでの機会均等的なアプローチではなく、より結果を重視した実質的平等のアプローチにシフトしている。ジェンダー平等を推し進める新たな手法として、ポジティブ・アクションやジェンダー主流化が生み出されている。フランスはポジティブ・アクションの手法を取ることにより、近年、大幅にジェンダー格差を是正している。一方、スウェーデンは、ジェンダー主流化の手法をとり、近年、ジェンダー平等は停滞している。日本は、ジェンダー主流化に加え、ポジティブ・アクションでも拘束力が伴わないソフト・クオータの手法を取っており、ジェンダー平等は停滞している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度は、おおむね順調に達成している。インタビュー調査では、平成27年度はフランスでの調査が時間の制約上出来なかったが、スウェーデンおよび日本においては、インタビュー先が拡充され、より幅広い人々への聞き取りが出来ている。また、中間発表として、どちらも学会発表ではないが、国内外で1件づつ行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進は、研究計画通りに変更なく行う予定である。最終年度となる平成28年度もフランス、スウェーデン、日本でのインタビュー調査を継続し、成果発表へと繋げる予定である。すでに6月の日本女性学会(東京)、7月の世界社会学会(ウィーン)において、研究成果発表を行う予定となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、時間の関係上およびパリのテロの影響も考慮し、フランスでのインタビュー調査を行うことができなかったため、使用金額が低かった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、フランスおよびスウェーデンでのインタビュー調査を遂行すると同時に、日本国内でのインタビュー調査もさらに精力的に行う予定である。また、成果発表として、国内外の学会で発表する予定でもある。
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