本研究の5年目にあたる平成29年度は、下記の研究活動を行った。 ① 既存研究調査(男女共同参画に関するフランス、スウェーデン、日本に関する文献調査)、② 日本、スウェーデンにおけるインタビュー調査(スウェーデン調査は、1月および3月に行った。日本調査は、通年で行った。フランス調査は行わなかった)、③ 本研究の成果をもとに講義を行った(名古屋大学における前期・後期のジェンダー関連授業および1月にルンド大学(スウェーデン)アジア研究科においてGender Equality in Japanの講義を行った)。
平成29年度の研究活動により分析できた点は以下である。 ジェンダー平等を推進する手法として、近年、多くの国では、ポジティブ・アクション(積極的格差是正措置)またはジェンダー主流化を採用している。フランスはポジティブ・アクションを積極的に採用し、スウェーデンはジェンダー主流化を積極的に採用している。過去10年間のジェンダー平等の進み具合を比較すると、フランスが大きく進展しているのに対し、スウェーデンは停滞している。日本は、ポジティブ・アクションとジェンダー主流化の両方を志向しているが、導入方法が緩く、その効果は弱い。諸外国ではより強制力のある施策を導入して男女共同参画を推し進めているが、日本では男女共同参画を推進しているものの、その導入方法が努力義務などの緩いものがいために、変化のスピードが遅いことが露呈した。
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