本研究の目的は、近世社会の人々は性と生殖とどう向き合ったのか、その具体相を、身分、階層の違いや、男と女の関係、いのちをめぐる観念、性と生殖をコントロールする方法も含めて探ることにある。それは近世の夫婦、家族には、家族の未来のために性と生殖をコントロールする「家族計画」の意識はあったのか、近世社会の性と生殖、いのちをめぐる問題に接近する試みでもあった。その結果、近世後期に流布する民間療法や人々が残した日記には性と生殖をコントロールする試みがみられるなど、家の維持・存続を意識した出生コントロールという「家族計画」の萌芽がみられることが明らかになった。
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