研究課題/領域番号 |
25360045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
西崎 緑 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (00325432)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 公民権運動 / アフリカ系アメリカ人 / Dorothy Height / ジェンダー / 州間取引 |
研究概要 |
研究初年度の今年は、次年度以後の本格的インタビューに備えて、文献研究を主として行い、背景資料の充実に努めた。 ①まず、Dorothy Heightの著作、さらに他のアフリカ系アメリカ人女性活動家の著作で未入手の文献を入手し、20世紀始めから公民権運動が盛んになる1950年代までの彼女らの活動の把握を行った。それらを通して彼女らの具体的な活動、およびそれに参加する動機、活動を進める上での考えについて考察を行った。特に重要であったのは、SNCCにおいて女子学生の政治的自覚の高まりが見られることで、そのことによって公民権運動は、ジェンダー問題の解決を目指す運動としての要素も見られることが明らかになった。 ②さらに、公民権運動と連邦政府、とくに連邦司法省との関係を探ることに努めた。司法省の公民権関係記録(マイクロフィルム媒体)を京都大学図書館において閲覧および複写し、合衆国政府の公民権運動に対しての姿勢についての見識を深めた。この一次資料には、アフリカ系アメリカ人の公民権の実質化についてのケネディ政権、ジョンソン政権と南部諸州の緊張関係が公的書簡等を通じて描かれており、法的な解決に向けて連邦政府がとった政治的手段(州間の商取引および人の移動の安全性の保障という連邦議会の立法を実行する、という強い意思)についての検証を行うことができた。 ③米国大使館・領事館の招聘で来日したキング牧師の補佐役であった公民権活動家への短時間インタビューを実施し、公民権運動時のキング牧師とその周辺の状況についての理解を深めることができた。さらに、彼への再インタビューを含めて、次年度に米国内で実施予定のNCNW関係者への本格的インタビュー計画を立てることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は、次年度の本格的インタビューの準備期間として設定されており、国内にある資料による検証作業を行う予定であった。図書館や文書館の訪問は、予定されていたものより少なくなったが、公民権活動家が来日したことにより、予定外に彼にインタビューすることができた。さらに収集した文献により、背景を整理することができたことから、次年度への備えは十分に達成できたと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年年度は、公民権運動におけるNCNWの役割を明らかにする、という本研究をさらに進めるため、ワシントンD.C.を訪問し、NCNW関係者、および公民権活動家へのインタビューを実施する予定である。特にDorothy Heightを直接知る人々から、彼女の評価を聞き取ることに重点を置きたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、予定以上に多忙となったため、国内の図書館、文書館の訪問を減らさざるを得なかった。 引き続き、国内の文書館を訪問するとともに、米国内での資料収集に使用する予定である。
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