本研究の目的は、紛争後の東ティモールで男女共同参画による水利システム改革の道筋を探ることである。近年同国では、気候変動による乾季の長期化により灌漑へのニーズが増大している。女性は農業と炊事・洗濯のための水ニーズから灌漑への関心は高い。だが、問題が施設の設計・施工・維持管理、水の分配、水利行政に至ると関与できる余地は限られる。本研究では、同国の大規模灌漑事業であるマリアナ第一及びカラウルンで現地調査を実施した。官僚が権力を握るインフラ建設では下からの政策関与は困難であり、女性が水利組合の役員に選出されてもジェンダー役割が障壁となる。だが末端から政策決定過程に関与することこそ改革の一歩であった。
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