研究課題/領域番号 |
25360054
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
鵜沢 由美子 明星大学, 人文学部, 准教授 (00613192)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 専門職 / 専門職大学院 / 資格 / ジェンダー / 高等教育 |
研究実績の概要 |
平成27年度は20代から60代の男女1000人を対象とした「専門職および大学院についての量調査」を実施した。 この調査は、研究の目的にも記したように以下のような問題意識のもとに実施した。すなわち、英米中心の画一的専門職モデルへの批判から、各国の歴史的背景を考慮に入れてモデルを構成する必要が指摘されている(阿形1995:86)。改めて歴史的、国内的、民俗的「専門職」(Freidson([1986]1988))のあり方を検討する必要があると考えてきたためである。 英米での専門職は高学歴であることが専門職のメルクマールとなっているが、日本では報告者の調査してきた税理士に見るように、必ずしもそうではなかったことに一つの特徴がある。2000 年代に入り、異なる傾向がある。すなわち、日本における専門職大学院の誕生である。これまで学歴不問であった法曹資格も、三年制の法科大学院が平成2004 年度から開校し、司法試験を受験するのに大学院修了が前提となってきた。 報告者は、この調査の成果の一端を「現代日本における専門職の意味」として『社会学研究紀要』第36号(明星大学人文学部人間社会学科)にまとめた。ここで明らかにしたことは、現代日本における「専門職」は、社会学における専門職論で議論されてきた「専門職」の特性とは重なるところもあるものの、異なる特徴を有していることである。「高等教育」に裏付けされた職業というアメリカにおける専門職の特徴とは異なり、現代日本においては、国家試験合格等をもって取得しうる確固とした「資格」が専門職としてのメルクマールであるといえる。専門職に大学までの学歴が必要であるとする割合と学歴は関係ないとする割合は拮抗しており、大学院までの学歴、高等教育が必要であるとする比率は非常に低いということも、この認識の仕方を裏付けているものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年に目の病気をしたことと、学務、教育の多忙さにより、予定通りの研究の推進ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は必要に応じ、リサーチアシスタントを雇用し、昨年度実施した調査報告書とさらなる成果を公表することに努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は計画していた「専門職と大学院に関する調査」の量的調査を実施することができた。この調査の結果の一部をもとに成果(論文)をあげることができ、調査データをまとめることもできたが、調査全体の結果をまとめる報告書の印刷をするには至らなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
残る金額で、主としてこの調査の報告書を印刷する費用に充当する予定である。また、調査結果からさらなる成果を出すために必要な文献収集などにもあてる予定である。
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