研究課題/領域番号 |
25360059
|
研究機関 | 大島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
石田 依子 大島商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (40370027)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 海運 / ジェンダー / 男女共同参画 / 女性船員 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、海運界における現在のジェンダー形成の状況を国際的に比較分析し、我が国の海運界で男女共同参画を実現させるにはどうするべきかを指摘することである。この年度は特に中東、オセアニア、アジアに焦点を絞り、次の二つの点を実行した。(1)これらの地域におけるジェンダー研究に関する論文・文献などの収集と分析し、各国や地域のジェンダーに対する概念の背景を掴んだ。(2)本年度はアジアを中心として、オセアニアと中東の調査と分析を行うが、この年度の研究で最も注目すべき点は、宗教的背景からジェンダー平等が遅れをとっている中東に関しても分析することであった。WISTA には中東からもメンバーが参加していて、支部も存在するので、彼らは極めて貴重なケース・スタディの対象となったと考える。方法は、前年度と同様、WISTA のメンバーに対するインタビューとアンケートを実施した。アジアに関しては、特に我が国に焦点を絞り、積極的に女性を雇用している企業を訪問して聞き取り調査を実施した。明らかになったのは次の点であった:中東はもちろん、オセアニアもアジアも欧州に比べて、海運における男女共同参画はかなり遅れている。しかし、我が国においては、特に大企業では、女性が船員になることに関しては否定的な見解は持っていないが、海運=男性という規範化された概念によって影響されていると思われる。ある集団が存在すれば、その集団は多数派に合う傾向を示すことが一般的であり、その傾向は多数派が多ければ多いほど顕著に顕れるだろう。海運業界は大多数が男性であるため、形成されている環境は男性に適したものとなっていると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画では、中東・オセアニア・アジアの3地域を均等に調査する予定であったが、昨今におけるイスラミック・ステートのテロの影響で、特に中東における調査が思うように進まなかった。現地に行くことは当然不可能であるが、メールでのやり取りも、先方の事情等のため、なかなか返信が来ないという事態も発生した。しかしながら、その分、我が国における海運界の男女の労働状況を当初の予定以上に詳細に調査することができたと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる年は、これまでの研究で得たデータの比較分析が中心となる。各地域・各国のデータと我が国のデータを比較し、我が国が今後目指すべき点を導きだす。結果的に、我が国の海運界における女性の進出を大幅に促進させることに役立つように我が国の海運界に結果を発信する。
|