研究課題/領域番号 |
25370004
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 比較哲学 / 美学 / 西洋哲学 |
研究概要 |
本研究においては, 1)20 世紀の「生の哲学」や現象学における時間論,存在論と対比させながら,西田独自の時間論の出現や変遷について明らかにする. 2)一見異なるように見える西田の前期と後期における美学と,時間論の関係について論考することを試みる. 3)上記2点を行なうために不可欠な作業である,西田幾多郎の著作のイタリア語への翻訳および注釈を順次を出版し,イタリアをはじめとしたヨーロッパに向けて研究成果を発信する. という3点を目的としている。 本年度は、1)、2)のために、西田の著作について、各時期で「時間」の概念がどのように記述されているかについて抜き出し、まとめていく作業をおこなってきた。またこれに平行して、3)のため、西田幾多郎全集イタリア語版の出版作業を引き続きおこなってきた。本年度は『信濃哲学会のための講演』の最終稿を出版社に提出し、年内に出版される予定であったが、出版社の予定により、平成26年度6月ごろの出版となり、その校正、装丁等の最終作業を行なった。『一般者の自覚的体系』に関しては、翻訳は終了し、校正作業を続けている。その他、平成25年度夏に、ヒルデスハイム大学哲学科において、「型の哲学」と題した集中講義を行ない、エルバーフェルト教授らや学生達と日本哲学や美学に関する議論を深めることができた。また、東北大学大学院文学研究科市民講座(有備館講座)において、異文化理解における翻訳の可能性に関する講演や、日本ショーペンハウアー協会において、数年前に著した西田幾多郎とイタリア人哲学者ミケルシュテッターの比較論考に基づいた発表を行なった。さらに、オランダ、ライデン大学における国際シンポジウムで、西田幾多郎の『善の研究』の時間論に関する研究発表を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度出版予定であった『信濃哲学会のための講演集』は、出版社の都合により出版が先延ばしとなった。この他については、順調に進行していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
上記1)、2)の目的のために、本年度同様に,「時間」の概念の分析を継続して行ない,西田の時間論を時代ごとに分けて,まとめる作業を一通り終えることを予定している.そのうえで,西田の時間論が,時間論の歴史の中でどのような位置と価値があるかを確定するために,一方では仏教の時間論と,他方では様々な西洋の時間論との比較対照を行なう。目的3)のためには、『一般者の自覚的体系』の出版催促と、『無の自覚的限定』の出版作業に着手する予定であるが、まずは『信濃哲学会のための講演集』を確実に出版できるよう、イタリアの出版社には、再三催促を行なう。
|
次年度の研究費の使用計画 |
専門書(洋書)を注文しようとしたが、2014年3月末までに納品されないことが分かったため、注文・購入を次年度に回したため、これらの文献のための費用として約10万円が残った。 平成26年度初頭に約10万円の専門書(洋書)を発注する予定である。
|