本研究においては, 1)20世紀の「生の哲学」や現象学における時間論,存在論と対比させながら,西田独自の時間論の出現や変遷について明らかにする. 2)一見異なるように見える西田の前期と後期における美学と,時間論の関係について論考することを試みる. 3)上記2点を行なうために不可欠な作業である,西田幾多郎の著作のイタリア語への翻訳および注釈を順次を出版し,イタリアをはじめとしたヨーロッパに向けて研究成果を発信する.という3点を目的としている。 本年度は、最終年度にあたり、国際学会にて西田の時間論と存在論に関する研究発表を行ない、イタリアをはじめとした海外の研究者と議論することで、研究の総括を行うことができた。また、昨年出版した『信濃哲学会のための講演』イタリア語訳の次の出版予定についても、打ち合わせをし、西田幾多郎全集のイタリア語版の出版をこれからも続けていくこととなった。
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