西洋近代観念説は、原子論(粒子仮説)的な仮説的アプローチを基盤とする、外なる物そのものと内なる観念との区別に基づいて成立した「自然主義」的営みであった。その基本的枠組みは、デカルトとロックによって整えられたが、ロック以降、バークリやヒュームやカントは、それぞれの仕方でこの自然主義的観念説の枠組みを解体する。バークリは物そのものを廃棄することによって観念論を成立させ、ヒュームは、この物そのものを懐疑的に見ることによって自然主義的枠組みを歪めた。またカントは、表象が内的なものとして扱われるために不可欠な物そのものを認識不可能な物自体とするとともに、硬直した認識観・人間観を前面に出すことになった。
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