研究課題/領域番号 |
25370034
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
長滝 祥司 中京大学, 国際教養学部, 教授 (40288436)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 身体技能 / 身体動作 / 共同注意 / 心的傾向性 / マインドリード |
研究実績の概要 |
本研究のテーマは、心と身体についての反省的、質的記述と科学的、数量的分析を融合するという視点から、身体動作と心的状態や心的傾向性との関連について言語記述的、数量的に分析すること、身体技能について言語記述的、数量的に分析することの2点であり、後者は前者の補足研究となるものである。また、以上によって、近代以降の心の内部と外部との隔たりを架橋し、人間をトータルに理解する観点を提示することである。 前者についての具体的な成果を二つの共著論文(「心的傾向性の予測とその根拠となる身体動作について――リハビリテーションにおける観察の問題」、「作業療法士の観察から得られた言語データと評価の道筋」)として発表し、後者については昨年度実験パラダイムを構築し遂行して得られたデータを研究会で検討した。研究全体に関連する成果としては、単著論文一点(「皮膚-感覚の現象学」)、共著書一点(Technoscience and Postphenomenology )、共著論文一点( "The AR glasses' "non-neutrality": their knock-on effects on the subject and on the giveness of the object")のほか、国際学会での発表を三件("Intelligence and Embodiment : from Classical AI to Developmental Robotics", Emerging Computer Technologies: From Information to Perception, "Phenomenology of Skin: on Self and Otherness")を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度は当初の計画上の最終年度にあたるため、できるだけ多くの成果を論文、著書、学会発表として公表する予定であった。概要にも記したように、国際ジャーナルを媒体とするものを始めとして、著書一点、論文四点、国際学会での発表三件と、成果としては極めてめざましいものとなった。ただ、今年度は副学部長の要職にあったため、計画していた国際学会一件に参加することができず、資金を残すこととなった。業績としては、計画通りの成果をあげることができたが、「おおむね順調に進展している」という自己評価としたゆえんである。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの3年間で収集したデータの詳細な分析を行うほか、さらにデータを充実させるために平成27年度度遂行した実験を拡充したかたちで行う。同時に、今回の研究を発展させる方針でで平成28年度より4年間の計画で立案した新たな研究計画「暗黙知の認知現象学的研究:人間性の自然化可能性を探る」に接続させるための準備を迅速に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行の2年目より副学部長の要職につき、多忙をきわめ、研究を展開するための協力者との打ち合わせ、実験の遂行、国際学会への出張など、当初の計画を削ることとなった。結果的には、論文数、著書数、国際学会での発表など、成果は満足のいくものとなっているが、予算の消化が部分的に進まなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画にはなかったが、研究の進展とともに必要となってきた実験の遂行とそのための研究協力者たちとの打ち合わせ、共著論文執筆の打ち合わせに要する出張、実験遂行に必要な機器の購入にあてる。
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