S.フリートレンダーの平和論と教育論は、「極性」「創造的無差別」という独自の思想に基づいている。この根本思想を基に改めてカントの永遠平和論を見直すと、その今日的意義と可能性、今後の課題が浮き彫りになる。その具体例が、日本国憲法の基本理念(平和主義〔序文、9条〕と個人としての人格の尊重〔13条〕)とその基本精神に基づく人格教育の実践である。現実(政治、科学技術)と理想(平和、空想)の問題における消極的思考と積極的思考の「極性」は、個人の人格(理性)の「創造的無差別」の働きによって調和できる。この人格主体の教育こそ、今後人類の永遠平和実現の可能性と課題のポイントである。
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