研究課題/領域番号 |
25370041
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
中国哲学・印度哲学・仏教学
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
吉永 慎二郎 秋田大学, 名誉教授, 名誉教授 (70240330)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 原左氏伝からの春秋左氏経・左氏伝の成立 / 左氏伝:Zhuo shi Zhuan / 春秋経:Chun qiu Jing / 経学的視点のコペルニクス的転換 / 全春秋経文の四種類型文への分類 / 全左伝文の列国史・評言・凡例・解経文への分類 / 踰年称元・正月即位という「名」 / 華夷史観・循環史観・名教史観からなる経学史観 |
研究成果の概要 |
左氏伝は通説的には春秋左氏経の注釈書とみなされているがその経に対する解経文と若干の付加伝文を除いた大部分の史伝文は原左氏伝と見なし得る。 本研究はこの原左氏伝から抽出と編作の手法により左氏経が制作されたことを論証し、春秋テキストが前4世紀前半から漢初にかけて、諸侯の策(列国史)→原左氏伝→左氏経・左氏伝→春秋経(穀梁・公羊型)→原穀梁伝・公羊伝→公羊伝・穀梁伝、という六段階の展開を為したことを明らかにしている。 更に原左氏伝の著作意図、原左氏伝からの左氏経・左氏伝の著作意図を解明し、これらテキストを為した春秋学派と列国執政との関係を解明している。その成果は『「春秋」新研究』として公刊された。
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自由記述の分野 |
中国哲学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、従来の春秋経からの注釈としての左伝の成立という経学的通説の視点をコペルニクス的に転換し、原左氏伝→春秋経・左氏伝→春秋経(穀・公型)との斬新な仮説を論証し、その形成過程において中国文明の経学史観と称すべき歴史観が成立したことを明らかにする。 その経学史観は、本研究の考察の示すように、中国が夷狄を支配するという華夷史観、王朝交代は天の暦数の循環のように循環的に為されるという循環史観、名を立て、その名によりて裁き、その名が実を生ずという名の論理による名教史観、という三つの下位史観から構成されている。 この経学史観が現代中国に至るまでの中国文明の歴史観の淵源であることを明らかにしている。
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