本研究の成果は以下の三つに大別できる。第一に、湖南師範大学図書館に赴いての実見によって、当図書館蔵の皮錫瑞(1850-1908)『経学歴史』手稿本全二巻全てをを解読した。さらにその成果を、2015年、日本中国学会第67回大会(國學院大學)において発表した。 第二に、手稿本および戦後の経学研究を利用しつつ、『経学歴史』の新訳注の作成を行い、二十一世紀における、新たな経学史研究の方法を提示した。 第三に、皮錫瑞と同時代の古文経学者、劉師培(1884-1919)著の『経学教科書』訳注の作成を日本で初めて完成させ、皮氏の歴史観とは異なった「経学史」を示した。
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