研究課題/領域番号 |
25370048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
大形 徹 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (60152063)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 復活再生観念 / 龍 / 扶桑 / 舟 / 楚帛画 |
研究概要 |
エジプトの太陽を載せる三日月の舟の観念が中国にも影響を与えたことを考察する。中国では龍による昇天観念と結びつき、龍形の舟に乗り、扶桑の枝に再生する太陽のように、被葬者があの世に復活再生する観念が戦国から漢代にかけて生まれた。それは儒教と異なる新たな死生観であった。エジプトでは太陽が三日月の舟に乗り、地を潜ったあと復活再生して天空に昇るように、死者もまた舟に乗ってあの世に復活した。中国では仰韶に龍に跨る人の造形がある。龍の原形がワニならば水平線から天の川を遡り、背に乗る死者の魂を天に運んだのだろう。楚帛画や馬王堆帛画では舟と龍が習合して龍舟となる過程を示す。それに乗り被葬者はあの世に復活再生したのだろう。 本年は龍について考察するものであった。龍には角がついていることが多いが、当初の角は茸形でアフリカのキリンの角に似る。龍以外の動物や人面の神にもつけられ、冠のようなものである。そのため龍には本来、角がないとわかる。龍の原形はワニであり、水平線から天の川を遡り天へと昇ったと考えたのだろう。後に龍は頭にシカの角がつき、身体にはオオツノジカの角にもとづく雲気がつく。シカの角は毎年、落ちて生えかわり、再生復活の象徴となる。龍の雲気や角は再生復活観念が付与されたものだろう。 発表(1)「戦国楚帛画について」人文学会、大阪府立大学学術交流会館、2013.6.28(2)「戦国楚帛画の舟よりみる復活再生観念の研究」日本中国学会、秋田大学、2013.10.12 論文(3)「戦国楚帛画の舟よりみる復活再生観念の考察」『人文学論集』第32集、大阪府立大学人文学会、2014.31、23-43頁。(4)「『荘子』にみえる植物―扶揺・冥霊・大椿・櫟-」山口裕文・大形徹編『照葉樹林文化論の現代的展開II』北海道大学出版会、(編集中)である。 龍だけでは、わかりにくいため、舟および扶桑についても触れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
発表(1)「戦国楚帛画について」人文学会、大阪府立大学学術交流会館、2013.6.28 (2)「戦国楚帛画の舟よりみる復活再生観念の研究」日本中国学会、秋田大学、2013.10.12 論文(3)「戦国楚帛画の舟よりみる復活再生観念の考察」『人文学論集』第32集、大阪府立大学人文学会、2014.31、23-43頁。(4)「『荘子』にみえる植物―扶揺・冥霊・大椿・櫟-」山口裕文・大形徹編『照葉樹林文化論の現代的展開II』北海道大学出版会、(編集中)である。 一年目は龍について考察する予定であったが、龍だけでは、わかりにくいため、舟および扶桑についても触れており、全体にわたるものとなっている。(4)はまだ編集中であるが、26年度には刊行される予定である。
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今後の研究の推進方策 |
龍についての考察する予定であったが、龍だけでは、わかりにくいため、舟および扶桑についても触れており、全体にわたるものとなっている。(4)はまだ編集中であるが、26年度には刊行される予定である。ただ、龍についての考察そのものは、もう少し詳しい資料をあげることが可能であるため、その方向で進めて行きたい。また10月に山東省で画像石の学会が開かれる予定だが、そこで画像石資料にみえる扶桑について、詳しく発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
資料収集・資料整理に雇用している方を4月からも継続して使用したいため。その人件費用として必要。 159,256円次年度使用額としている。人件費として7,500円x23日=157,500円 1,756円を物品費・その他として使用の予定。
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