研究課題/領域番号 |
25370050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
大島 晃 東京国際大学, 言語コミュニケーション学部, 教授 (00114413)
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研究分担者 |
町 泉寿郎 二松學舍大學, 文学部, 准教授 (40301733)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 抄物 / 漢籍 / 清原宣賢 / 博士家 / 新注 / 古注 / 四書 |
研究概要 |
本研究計画は、清原宣賢の中国古典解釈の全幅を解明するために、その漢籍抄を経史子集各部に亙って多角的に取り上げるべく一一種を選定して、月例研究会参加者を中心に呼びかけて分担して解読を進め、二期に分けて順次『清原宣賢漢籍抄翻印叢刊』(汲古書院)として公刊するというものである。 本助成金を受けて進める三年計画の初年に当たる今年度は、選定した清原宣賢漢籍抄について、各機関に所蔵される底本・校本・その他の参照資料の収集につとめつつ、各文献の読解・翻印の作業に取り組んだ。撮影等によって資料収集した主な文献としては、以下のものがあげられる。○陽明文庫所蔵『中庸抄』。○尊経閣文庫所蔵『三略秘抄』。○京都大学附属図書館清家文庫所蔵『孟子抄』『長恨歌並琵琶行秘抄』。○東洋文庫所蔵『論語聴塵』『孟子抄』。○国立国会図書館所蔵『蒙求聴塵』。○国立公文書館所蔵『七書諺解』。 各宣賢漢籍抄の読解研究については、研究代表者・研究分担者が連携研究者・研究協力者の参加協力を得て、『曲礼抄』『中庸抄』『三略秘抄』『長恨歌並琵琶行秘抄』『蒙求聴塵』『論語聴塵』に対してそれぞれ読解のための月例研究会を継続実施し、いずれも読解と翻印が進捗している。このうち『中庸抄』の読解研究会は、関係者が最も多く参加する中核の研究会として機能し、この研究会における読解を通して、参加者の読解・翻印の能力が向上するとともに、問題意識の共有化が進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中核となる月例研究会の継続的な実施によって、それぞれの漢籍抄の読解・翻印に関する基本方針・問題点・進捗状況などについて、この研究会の場で定期的に確認や協議を行いながら進めているので、参加者間の意思疎通も含めて、研究全体が円滑に進捗している。具体的にいえば、『三略秘抄』『長恨歌並琵琶行秘抄』は読解・翻印の作業を終了し、点検作業に入っている。『中庸抄』も読解・翻印の第一次稿がほぼ成稿している。比較的大部な『蒙求聴塵』『論語聴塵』や難渋な『曲礼抄』についても、参加者が連携を取りながら進めており、作業は確実に加速してきている。 ただし、懸案の北京図書館所蔵・曹端『四書詳説』が図書館施設の改築のために資料調査できない等のやむを得ない事由のため、一部の資料閲覧が実現できていない。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、現在進行している取り組みを停滞させることなく、むしろ加速させていくことによって、当初計画通りの研究推進を目指す。ただ、読解・翻印という作業の性格上、杜撰さを生みかねない拙速は慎みたい。その意味でも、月例研究会を重視し活用していく方針を今後も堅持する。 平成二六年度においては『長恨歌並琵琶行秘抄』と『三略秘抄』を公刊するとともに、『中庸抄』(点検作業)、『蒙求聴塵』『論語聴塵』『曲礼抄』を着実に進め、それらの公刊予定をより明確にすることに努める。また『三略秘抄』読了後は『六韜秘抄』の読解等、次の取り組みに着手したい。 関連資料の調査収集については、読解・翻印の基本方針を明確にし、より効果的な資料収集をはかる。 また読解・翻印に取り組むなかで生まれる研究論文についても、発表の場を積極的に求め、「清原宣賢漢籍抄研究論文編」として公刊することを検討したい。そうすることで、この実施計画が共同研究ならではの研究成果として具体化できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた主な理由は、次の二つである(「旅費」「その他」)。 『中庸抄』に見える『四書詳説』は、現在、北京図書館所蔵本のみが知られる稀少文献であり、整理作業にあたり、北京での現地調査とその資料収集を計画していたが、所蔵機関が改修中のため、平成二五年度においては現地調査がかなわなかった。そのため計上していた「旅費」の支出を見送った。 また上記『四書詳説』のほか、調査収集を計画している資料のうち、複写や撮影の許可に時日を要しているもの、また入手する際の諸条件により、「その他」の支出が次年度使用として先送りになった。 平成二六年度においては、当初計画に沿った予算執行に心がけ、資料所蔵機関それぞれの措置に応じた対応を工夫したい。
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