研究課題/領域番号 |
25370054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 花園大学 |
研究代表者 |
師 茂樹 花園大学, 文学部, 准教授 (70351294)
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研究分担者 |
石井 公成 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (10176133)
吉田 叡禮 花園大学, 文学部, 准教授 (60507135)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 未翻刻文献 / 聖語蔵経巻 / 法華経 / 因明 / 金剛般若経 / 仏教論理学 / 東アジア仏教 |
研究概要 |
平成25年度においては、(1)対象とすべき未翻刻文献の調査・選定、(2)研究推進のためのシステムの設計と構築、(3)古写経等の目録調査・データベース化、(4)文献の複写・翻刻・文献批判、(5)文献分析方法の検討を計画していた。 (1)については、聖語蔵経巻データベース(丸善)、東大寺図書館、佛教大学、龍谷大学、国立国会図書館等に収蔵されている未翻刻文献を中心に検討したが、聖語蔵経巻データベースに収録された未翻刻文献を中心に作業を行うという方針を定めた。平成26年度からは、聖語蔵経巻データベース・第V類 甲種写経所収の1764『法華決釈記』・1765『法華略讃嘆』・1916『法華略抄』(恐らく東大寺明一のものと思われる)とその裏の沙門宗『因明正理門論注』・1961『法華経二十八品略釈』、第VI類 乙種写経所収の2052『金剛般若経疏』(中唐以降の著作か)等の翻刻に着手する予定である。 (2)のシステム構築については、MediaWikiなどの既存システムの評価と準備作業を中心に行い、加えて今後の作業のためのPC環境の整備を行った。(3)目録(メタデータ)については、現在整理中である。(4)文献の複写・翻刻・文献批判については、(1)で選定した文献について、平成26年度以降に翻刻を実施する文献についての印刷作業等を行った。翻刻を始めることができなかったので、文献批判についても簡単なことしか行っていない。(5)文献の分析方法については、研究代表者・研究分担者がこれまで取り組んできた、確率的言語モデルによる文献の比較分析手法、変格漢文に関する研究を行った。 以上の計画に加えて、上記未翻刻文献に関連する研究発表(11月)や研究集会(2月)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の作業によって、従来研究者に知られていなかったと思われる未翻刻文献がいくつか聖語蔵経巻等に収録されていることが確認された。現段階では翻刻が完了していないため本格的な検討を行うことはできていないが、予備的な研究においてもこれらの文献が唐代仏教・新羅仏教・日本仏教の文献的な空隙を埋める可能性が認められた。その意味で、本研究の目的として掲げた「『大正新脩大蔵経』を中心とした文献研究を柱とする従来の東アジア仏教研究が再構築」に向かって前進しているものと思われる。 しかしながら、調査しようと思っていた文献が修理に入ってしまうなど、不測の事態も発生したため文献調査等に予定以上の時間がかかってしまった。今後の研究活動に大きな遅れはないと思われるが、今後は多少スピードアップをしていく必要があるかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度から、研究分担者やアルバイトによる翻刻作業が本格的に開始しており、このまま順調にいけば平成27年度における文献の分析と、インターネットや冊子による公開に向けた作業に予定通りに進むことができると思われる。 また、現在作業中の文献については、随時関連学会等で報告をすることで、情報の共有をはかりたい。 もともと専門家からの情報提供を主眼として平成25年度に行った研究集会が、未翻刻文献を用いた東アジア仏教研究の重要性と方法論的議論について、たいへん充実した情報交換と議論ができたことから、平成26年度以降についても海外の研究者の招聘も念頭におきながら実施したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
翻刻を計画していたある未翻刻文献が修理に入ってしまったため、翻刻をするための謝金等を支出することができなくなってしまった。 別の文献を選定したので、そちらの翻刻の謝金として使用する予定である。
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