インドの宗教は寛容ないし包括主義的傾向が強いと一般に言われているが,ミーマーンサー学派は聖典ヴェーダの教説を尊重しない宗教に対して極めて不寛容である。グプタ王朝後の時代,新興の国王たちによる経済援助をめぐって,地域のヴェーダ諸流派の間でせめぎあいが高まり,メジャー流派がマイナー流派を圧迫する事態が起きていた。このためクマーリラは,どの流派のヴェーダも対等の権威をもつのだから,他流派に対して寛容に接するべきだと力説した。しかしヴェーダ流派内部での寛容は外部に対する不寛容と表裏一体であり,クマーリラは仏教をバラモン諸流派に共通の敵に仕立てるため,社会生活の中での異端宗教として徹底した批判を行った。
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