11世紀においてチベットに仏教を伝承したディーパンカラシュリージュニャーナの文献を調査することにより、以下のことが解明された。(1) 密教文献を通して、アシュヴァゴーシャ、アドヴァヤヴァジュラの著作に著者性の問題があることが解った。(2) インドのヴィクラマシーラ寺院における活動を通してパーラ王との関係が明らかになった。(3) 小部文献を通して彼の著書中に偈頌の借用関係があることが解明された。(4) ナーガールジュナへの言及を通して彼のナーガールジュナ観が明らかになった。(5) 誓願文献を通してインドにおける誓願文の伝承関係が明らかになった。
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