研究課題/領域番号 |
25370061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 同朋大学 |
研究代表者 |
平野 克典 同朋大学, 文学部, 非常勤講師 (70513737)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヴァイシェーシカ / パダールタダルマサングラハ / ヴィヨーマヴァティー / ニヤーヤカンダリー / キラナーヴァリー / 結合関係 / 内属関係 / 存在論 |
研究概要 |
本研究の目的は、インド的実在論に立脚するヴァイシェーシカ学派の<関係>(結び付けるもの)概念を考察して、同学派の存在論の特徴を解明することにある。平成25年度は同学派が説く<関係>の一つである<結合関係>の概念分析を目的として、紀元前1世紀頃から紀元後10世紀までのヴァイシェーシカ学派の諸文献、すなわち根本聖典の『ヴァイシェーシカ・スートラ』とその注釈書とされる『パダールタ・ダルマ・サングラハ』(PDhS)、そしてPDhSへの現存最古の注釈書である『ヴィヨーマヴァティー』を考察文献として以下の研究を進めた。(1)根本聖典である『ヴァイシェーシカ・スートラ』に言及される<結合関係>に関する記述の収集と内容分析を行った。(2)『パダールタ・ダルマ・サングラハ』の「結合関係の章」の和訳を完成した。(3)『ヴィヨーマヴァティー』の写本調査をインドで実施した。すなわち、マイソール大学の東洋学研究所(Oriental Research Institute)を訪れ、『ヴィヨーマヴァティー』の写本のコピーを入手した。また、Sampurunanand Sansktit UniversityのSarasvati Bhavan Library を訪れ、『ヴィヨーマヴァティー』の写本の一部を書写した。(4)上記2本の写本と刊本2冊に基づき『ヴィヨーマヴァティー』の「結合関係の章」の校訂作業と翻訳作成を開始した。 根本聖典、注釈書、復注釈書という関連性をもつ上記文献の考察を通じてなされた<結合関係>の分析は、同学派の<結合関係>を巡る思想史構築への端緒となる。また、『ヴィヨーマヴァティー』の写本参照は、より精緻な研究成果へと導く意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『ヴァイシェーシカ・スートラ』に言及される<結合関係>の分析を終え、『パダールタ・ダルマ・サングラハ』の「結合関係の章」の和訳を完成した。また、『ヴィヨーマヴァティー』の現存する二本の写本調査を実施し、書写とコピーを完了した。同書の校訂作業と翻訳作業も順調である。以上の成果から、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
『ヴィヨーマヴァティー』の「結合関係の章」の校訂作業と翻訳作業と内容分析を完了する。また、『パダールタ・ダルマ・サングラハ』の注釈書である『ニヤーヤ・カンダリー』と『キラナーヴァリー』の「結合関係の章」の翻訳作業と内容分析を開始する。以上の分析成果を学会で発表すると共に、雑誌などに投稿する予定である。また、<結合関係>の重層的な考察を目的として、他学派の文献に見られるヴァイシェーシカ学派との<関係>概念を巡る議論を分析する。その際、海外研究者との研究会を実施する予定である。
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