従来の研究では、東インドにおける仏教の衰退とイスラームの伝播、発展という現象は、個別に検討されることが多かった。それゆえに、仏教とイスラームという二つの宗教の連続性に関しては、余り大きな関心を払われなかった。しかし、東インド地域での仏教の衰退とイスラームの台頭は、密接な関係がある。この歴史的事実としての宗教の変動を、思想的な側面に焦点を当て明らかにした。 というのも中央アジアで、9~12世紀に確立されたイスラーム神秘主義の存在が、東インドにおける仏教からイスラームへの改宗を個人的にも集団的にも容易にしたという結論を得た。この結論は、更にイスラームの東南アジアへの展開にも言えることである。
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