研究課題
研究計画3年終了のあと、次年度使用額が生じた理由であるドイツ語論文「ルカーチvs.アドルノ論争への寄与」の執筆については本年度前半に完了し、つぎの「雑誌論文」欄に記すように、その前半部「アドルノの<強制された批判>とその背景」が国際ルカーチ協会年報2016年号に掲載された。その後半部「背反、そして可能な収斂の地平」については同年報2017年号に掲載されることが確定している。また2016年12月には、「ハンガリー学会」主催のもとに早稲田大学にて招待講演「ルカーチ、フランクフルト学派、そして近況へ」をおこない、その内容が論集単行本として出版されるとの見通しのうえで、論稿「1956年ハンガリーと晩年のルカーチ」を2017年4月現在ほぼ脱稿しおえたところである。上記二点はいずれも本研究課題「『啓蒙の弁証法』読解と、その前史・後史をふまえた、近・現代<社会思想史>の刷新」にかかわるものである。「読解」作業そのものについては残念ながら現時点ではいまだ分担執筆者全員の論稿が出揃うには至っていないが、課題の決定的重要性に鑑み、共編者として督促を重ねているところである。その作業完結は間近であり、その成果は、「近・現代<社会思想史>の刷新」という課題部分『社会思想史学論選』(仮題)の第4部「全体主義と批判理論」の基幹部分をなす研究編成として位置づけられる全体計画のもとにあるからである。(1)方法としての構想力という問題群の探究、(2)『啓蒙の弁証法』における基礎概念の批判的検討、(3)近代からこの現代にわたる<社会思想史>上の諸論点の通時的・共時的再考、これらが、本研究以後に続く課題となっている。これらの研究課題については、三木清の「構想力論」、丸山眞男の「政治学」、宇野弘蔵の「経済原論」等々の「成果と問題点」をもあわせて検討する作業を前提としている。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Lukacs 2017: Jahrbuch der Internationalen Georg-Lukacs-Gesellschaft
巻: 17. Jahrgang ページ: 印刷中
Lukacs 2016: Jahrbuch der Internationalen Georg-Lukacs-Gesellschaft
巻: 16. Jahrgang ページ: 89-107