本研究は、フランスの政治教育論から出発し、その後19世紀イギリスの政治教育論に議論の軸を移した。既に公表した論文では、J.S.ミルらに代表される地方自治や陪審員などの参加を通しての政治教育論を検討したが、この文脈とは異なる立場から、広い意味での教養教育を視野に入れた市民教育論を論じた思想家たちに着目し、特にマシュー・アーノルドの議論に着目した。研究業績のうち、口頭発表、及び公表論文は共にマシュー・アーノルドに関する業績で、デモクラシーが進展する19世紀イギリスにおいて、新しい時代のデモクラシーを支える市民の資質との関わりで教養の役割を論じた彼の思想を通し、デモクラシーと教養の関わりについて議論したものである。
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