1.<研究上の交流、資料取集など> 8月に国立公文書館において、林羅山の著作について調査・撮影を行った。9月に渡韓し、延世大学国語国文学科において韓国古典文学の訳注について、文化 的な障害をいかに克服すべきか、について討論を行った。12月、李胤錫教授(延世大学)を招き、「朝鮮古典小説の諸問題」の演題で講演会 開催し、参加者とともに研究上の諸問題について討議した。3月、再び渡韓し、ソウル大学や高麗大学などで資料収集活動を行った。 2.研究成果の発表 ①「風水マスターを通じてみる韓国風水の特質」(『術の思想』所収 297-324頁 2013年9月 風響社)②「15世紀朝鮮の<儒>の位相」(『大阪市大頭脳循環プロジェクトシンポジウム論 集』所収 198-212頁) 3.研究活動・成果の意義と重要性 論文①は高麗・朝鮮前期に形成された朝鮮風水思想がその後も大きな影響力を保ち、近 代はおろか現代韓国に至るまで民族地理観を規定していることを通史的に論じたもの。 論文②は、成俔の随筆集『慵斎叢話』を手がかりに、<儒>なるものがどのように受容 されていったかを論じたもの。そこに見られる「実践的儒学」と「観念的儒学」の対立 は朝鮮末期に至るまで激しい論争と政争を繰り返すことになる。また、成俔が提示した 朝鮮民族文化への言及はその後の民族文化観の基礎をなすものであり、極めて重要であ る。資料収集および韓国研究者との交流は研究推進の必要不可欠である。
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