研究課題/領域番号 |
25370093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
竹村 英二 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (80319889)
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研究分担者 |
伊東 貴之 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (20251499)
江藤 裕之 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70420700)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 英国 ケンブリッジ大学 / 国際研究者交流 EAJS スロヴェニア / 幕末漢学 / 清代考証学 / フィロロギー / 東アジア学術交流 / 史学史 / 近代知性の基盤 |
研究概要 |
本研究が (1)18~19世紀の実証主義的儒学、(2)その日中間での相互的発展の様相、(3)経学研究から発展した言語研究の手法の三点を中心とするのは申請書の「研究目的」に明記したが、2013年度はとくに(1)(2)の課題を大きくすすめる研究会を計7回開催(当初予定の三回を大きく上回る)、これは、異分野の研究者が参画する本科研の趣旨の相互理解に極めて有用であった。また、昨年四月の採択直後よりケンブリッジ大学のP.F.Kornicki教授、山梨大学名誉教授の佐藤正幸氏が研究協力者として参加した。6月会合では代表者による全体の方向性提示の報告、江藤(分担者)によるドイツ・フィロロギーと江戸国学の方法的共通性に関する報告、史学史を専門とする佐藤による西洋史学と中国の史学の比較研究の報告、尾崎(協力者)による清代撲学の報告がなされ、以降は、主に(1)史学史、(2)ドイツ・フィロロギーと18世紀日本ならびに中国の考証学・文献学との比較に関する各々の分科会を適宜開催、各々の主題での相互理解と知見の共有の機会を増やし、それらを全体会合にて総合するという形で研究をすすめた。論文としての成果の詳細は「業績欄」を参照されたいが、代表者の論文の國立臺灣大學刊行の叢書における掲載、江藤によるタイ・タマサート大学での講義など、研究主題の海外での発信を体現するものも含まれる点を特記したい。さらに強調したいのは、2013年度に進捗をみた研究を基盤とする成果をもとにヨーロッパ日本研究協会(European Association for Japanese Studies)での大会報告(2014.8)に応募、首尾よく採択され、代表と分担2名で報告にゆくことが決定(報告日は2014.8.30)、さらにケンブリッジ大Kornicki教授と共同開催の国際研究集会を同大学にて開催することが決定したことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理由(1): 本科研の主題と問題意識を共有する海外の日本研究者との連携が予想以上に進展した。とりわけ江戸前~中期日本儒者の中国古典テクスト研究の分野を専門とするケンブリッジ大学コーニツキー教授の研究協力者としての加入は、(a)江戸前期よりの古典テクスト理解手法の発展に関する知見を拡充させた。さらに(b)同教授と今夏、国際研究集会をケンブリッジ大にて共同開催することとなった。 代表(竹村)は2013年11月より東京大学東洋文化研究所研究協力者を兼務するが、ここで、清代考証学に造詣が深く、近年は江戸中期以降の漢学についても研究を深めつつあるプリンストン大学のB.A.エルマン教授(本年4月より東大東文研客員教授)との研究連携ができつつある。エルマン教授は文献学の方法に関する日・中・欧比較に関する編著も準備中、今年末に刊行予定であり、同教授との研究連携はまさに本科研の主題の一つを大きくすすめる可能性をもつものである。 理由(2): 研究内容の面では、(a)本科研事業開始当初においては、日本儒者による古代中国語研究と西欧、とりわけ18世紀ドイツにおけるギリシャ古典言語研究の比較を対象としていたが、昨年度の研究会合を経て研究・比較対象が発展的に拡幅され、古代言語研究をも包摂した18世紀日本儒者の「文献学」「目録学」研究とドイツ・フィロロギーとの比較研究を主眼とすることとなった。また、(b)史学史研究者(主に佐藤、宮田)の参画により、江戸期の経学研究から発展をみた近代歴史学の研究方法確立過程の研究が充実、この主題自体は当初から企図されていたが、幸田成友、田中萃一郎、坪井九馬三らにおいて、彼らの学的「基盤」が何であったか、その上に、西洋史学の方法論がどのように構築していったかについての詳細な研究が開始されつつある。これらは、「予定調和的」なものではなく、研究の進捗の結果開けてきたものである。
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今後の研究の推進方策 |
本科研は高い水準の日本思想史研究の海外のトップレベルの研究者への発信、彼らとの学的連携の発展的継続を大きな目的とするのは申請書においても明記した。上述したヨーロッパ日本研究協会(EAJS)に本科研代表・分担が提出した研究報告の採択、8月の大会での報告はまさにこれを具現するものであり、続いて代表が主催する予定の9月初旬のケンブリッジ大学での研究集会もこの主旨にかなうものである。EAJSでは、Philological and exegetical studies of classical language in 18th and 19th century Japan: A comparative approach との題目でパネル報告を行なう。これは、(1)日本思想史研究の文献研究、理論研究の双方の蓄積を十全に反映させ、(2)これをドイツ・フィロロギーと比較することを主旨とする。代表、分担(江藤、伊東)が接点を確認しながら各々すすめる中井履軒の古典文献研究、アウクスト・ベェク研究、清代儒者研究の発表を行なう予定であり、本年4月より7月はこれにむけた準備を中心に据える。 平行して史学史研究とその基盤としての経学の方法の研究もすすめる。とくに、近代史学確立に寄与した幸田、田中、坪井らが史学方法を構築するにあたって、西洋史学に関するどの書物を、いつ、いかなる経緯で獲得したかなどの特定も含め、「研究方法」確立に至る経緯の「具体相」の精微な検証を推進する。 昨年度において、清代考証学、日本漢学の文献学的・書誌学的方法の各々の特質に関する理解、ドイツ・フィロロギーの概要に関する理解は専門分野を異にする各々の研究メンバーの間においても進んだと考える。しかし、各々の方法の具体的な次元での考察、方法論の微細に踏み込んでの研究を踏まえながらの相互比較は未だ十分ではなく、本年度以降はここの深化が極めて重要な課題と認識している。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外研究協力者である M.C.コルカット(プリンストン大学)教授の旅費について、本科研からの支出が往路分のみで済んだこと、ならびに研究協力者大川氏の旅費も一部本人負担となったため、年度当初に必要であった上述の¥86,040が不要となり、次年度にあてることが可能となった。 2014年度研究計画で示したように、本年度はヨーロッパ日本研究協会での大会報告(8月末)、英国ケンブリッジ大学での国際研究集会(9月初旬)をひかえる。対円ポンド高、ユーロ高も懸念されるので、繰越金はすべて、本年度の「旅費」にあてたい。
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