本研究は、南米諸国におけるトラウマ的な人権侵害の記憶が、いかなる過程を経て社会的に認知され、文化的な「市場」で流通し、消費されてきたかを、ミュージアムや記念碑といった「記憶の場」、映画製作や出版などの文化産業、新たな研究領域("historia reciente"=1960年代から現在までの現代史研究)の確立過程の分析を通じて明らかにした。アルゼンチン、チリ、ウルグアイの比較検討を通じて、"historia reciente"の歴史的な語りの構造を明らかにし、いかなる集合的な文化的記憶として構築=再構築されてきたかを分析した。
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