研究課題/領域番号 |
25370097
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
佐藤 文子 佛教大学, 歴史学部, 非常勤講師 (80411122)
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研究分担者 |
吉田 一彦 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (40230726)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 方法論 / 史学史 / 国際交流史 / 宗教 / 日本学 / 比較文化 / 美術史 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、昨年度までの成果と議論を踏まえ、調査研究を実施した。7月15日から24日にかけて、ベトナム北部・中部の調査を実施し、寺院・博物館・墓地・戦争遺跡・村落などを調査し、文化や思想・宗教などについて撮影や聞き取りをおこなった。中華の周縁にあたるベトナムの文化と日本地域の文化の関係性の具体的分析を進捗させると同時に、昭和初期にいわゆる「東亜新秩序」を念頭に日本人学者らが東南アジア調査を足跡を確認した。昭和初期に黒板勝美・中村孝也らが日本人墓として調査顕彰したもののうち「ばんじろー」墓について近年の国際交流史の成果によって、日本人ではなく中国人である可能性が高くなっていたが、現物を確認し文字の誤読も訂正し、さらに500メートルほどはなれて未紹介の同形式中国人墓があることを発見した。 東書文庫および教科書センターで昭和初期の資料を閲覧し、いわゆる南方・東方についてどのような教育普及がおこなわれていたかの実態を調査した。現地を調査したうえで関連する教育関係資料の調査をすすめることで、相乗的・効率的に学問史の理解を深めることができた。 またこの科研による研究会(国史学と仏教をめぐるメタヒストリー研究会)を2回開催した。各自個別に研究成果を発表するとともに、ベトナム調査に参加した共同研究者が中心となって、撮影データや聞き取りデータをもとに調査成果報告会を実施した。また韓国ソウルの中央博物館において本科研のテーマと関係が極めて深い特別展「東洋を収集する」が開催され、研究協力者池美玲・手島崇裕が現地を視察、内容を報告した。 国内における聞き取り調査については、プライバシー保護のため佐藤一人が担当し、昭和初期・中期の日本史研究事情にくわしい個人に対して2回にわたって実施し、記録にとどめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず効果を上げた要因として、京都大学人文科学研究所の研究班「日本宗教史像の再構築」に佐藤が班員として参加したことをはじめ、多分野複合型の研究コミュニティから連携のオファーや招聘があり、情報提供や共有化があいついで、本科研の活動趣旨は広く理解されたことがある。代表者と分担者は、口頭発表などのアウトプット作業が多くなり、当初計画の新規調査のデータ整理やリスト化などの基礎作業が遅滞した。さいわい在外の研究協力者が実質的な戦力となって研究の趣旨を理解して取り組んでいるので、チーム全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
宗教史・日本史・美術史・国際交流史の専門家による現在のチームで足りない視野を、招聘講演などによって補い、最終年度の成果結実にむけて活動していく。人文学知の表象ともいえる博物館展示配列の配列法の問題をあらためて考えるために、国内外の博物館の視察を行う。あわせてこれまでの新規調査分のデータをとりまとめ、補足調査をおこない、議論を深めたうえで、公開性のある場で成果を公表していく。その際これまでの活動で獲得した内外の研究者との国際的連携のもとに遂行していくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
招聘講演などのオファーがあり、新規調査のデータ整理などよりも内外研究者との連携の事業を優先したため。
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次年度使用額の使用計画 |
一時的に優先順位をさげたデータ整理作業などのための費用に充填する。
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