研究課題/領域番号 |
25370097
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
佐藤 文子 佛教大学, 歴史学部, 非常勤講師 (80411122)
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研究分担者 |
吉田 一彦 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (40230726)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 宗教 / 歴史叙述 / 史学史 / 文物 / 植民地 / 国際交流 / 応用史学 / 教育史学 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、25年度、26年度までの成果と議論を踏まえ、さらに調査研究をすすめるとともに、これまでの調査研究データのとりまとめ作業、成果の公表に力を入れた。7月には、研究代表者および研究分担者・研究協力者らからなる共同研究者らが集まって会議を開催、課題遂行の計画を見直し、効率化を検討した。また日本思想史学会において当該科研による総括的成果公表となるパネルセッションを実施するための準備報告および討論を7月と10月の二回にわたって行い、要旨を作成してエントリーした。 当初計画案にあった海外調査が、情勢不安により断念せざるを得なくなったため、それに変えて、これまであまり知られていない20世紀前半期の調査データの採訪に切り替えて研究を進めた。平成26年秋に韓国ソウル中央博物館にて開催された特別展「植民地朝鮮におけるアジア文物の収集」は、当該科研のテーマを鏡像のように映しだす重要な企画であったが、これについて、共同研究者から展示および記念シンポの内容について情報提供があった。また仏教美術研究センターにて、古社寺保存会から派遣された初代の奈良県技師であった関野貞関係資料を閲覧し、また国立民族学博物館においてアジア調査関係資料を閲覧することができた。 研究班全体で情報をじゅうぶんに共有したうえで、10月18日日本思想史学会において『国史学とアジアと仏教文物』と題したパネルセッションを行った。代表者による趣旨説明につづいて、共同研究者らが、吉田一彦「黒板勝美の宗教研究と国史叙述-仏教・神道・道教」、池美玲「いわゆる日帝期朝鮮における仏教文物調査-関野貞の活動を中心に」、手島崇裕「黒板勝美の南洋調査と〈日本〉」の発表を行い、佐藤が総括として「古代観の組成過程と〈日本〉」の発表を行い、フロアをふくめて有意義な議論が交わされた。今後は論文等による成果公表を促進していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際情勢の変動などにより、いくつかの調査対象は変更を余儀なくされたが、共同研究者らとの情報共有化と、研究計画遂行のための打ち合わせを入念に行ったため、調査対象の代替化も滞りなく、当初計画時の予想を上回る研究成果が現れつつある。研究機関での講演や学会でのパネルセッションを実施し、これまでの内外研究者との連携によって、新たな視野と切り口をもって開始した当該科研のテーマそのものの意義や価値がひろく了解されたといえる。とくに他領域研究者や他の研究班との連携や海外研究者・海外研究機関の協力が得られたことが、当該科研自体の成果拡大につながっている。いっぽうで、論文化などの成果公表の時期がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度までの調査研究データの公開、成果の発表および刊行に重点を置いて研究活動を推進していく。とくに情報公開や共有化の面で、学会、国内外の他機関との連携協力をとりながら、研究分担者・研究協力者を含めた研究班全体でこれまでの研究活動の結実を論文公表していく。 さらにまた人文学の新しい方法論を切り開いた当該研究の成果を使って、個別の具体的研究に生かし、つぎの研究課題に取り組んでいく。
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