日本での歴史編纂は模倣によってはじまり、長い間漢学的フォーマットの影響下にあった。そこに変革をおこしたのは明治維新であり、日清戦争の戦勝を契機としてさらに価値観が変化した。大東亜共栄圏という構想が出現するのと連動して、日本には中華の影響がなかったという思想が普及し、近代の日本特殊論が成立する。 終戦後、日本に対して中華の影響がないとする思想は修正を迫られ、両者の関係について再評価がなされた。近代日本が創り出した古代像を変更しないために、隋唐を強大な大帝国と評価するようになった。この学説は1970年代半ば以降教科書に採用され、いま現在の日本史分野に定着したと考えられる。
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