研究実績の概要 |
今年度は、9月にドイツに赴き、南部ウルム市を中心とする地域を現地調査した。南西方向にあるホーレ・フェルス洞窟では、2008年に発見された、高さ6cmの彫像が、約35,000年前の作品と考えられており、それを実地に調べることができた。人為の痕跡が認められ、その制作年代が妥当かどうか、が今後の課題となるだろう。東北方向の、ホーレンシュタイン・シュターデル洞窟では、1939年に断片の集合が発見されていて、それらが1997年に再構成されたところ、高さ30cmの彫像が現れ、頭部がライオンで、首から下が人間像であるという解釈が有力である。それ故「ライオンマン」と称されているが、制作年代は約32,000年前ということで、これもきわめて古い年代である。なぜ、ドイツ南部のドナウ川流域の一地域にだけ、これだけ古い時代の作品が発見されているのか、今後その理由等を考えてゆく必要があるだろう。 他にも、昨年度以来の現地調査のデータを整え、また次年度の調査の準備的研究に従事した。
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