1.中国現地調査:本年度は、河北省、山東省、安徽省、河南省、陝西省の5省の実地調査と北京市での文献調査を行った。主たる調査機関と収集成果は以下のものがある。【滄州博物館】墓誌や造像記を中心に情報を収集した【徳州博物館】運河の情報や、南北朝時代の副葬品に関する情報を得た【鄒城博物館】西晋の劉宝墓の出土品の情報が得られた【中国漢画碑刻博物館】館長から展示拓本資料の出土地などの情報収集を行った【宿州市博物館】漢代の画像石等の出土品が見られた【亳州博物館】曹操時期の磚文資料を中心に調査。旧館では見られない草書磚が50点以上あり、熹平石経に極似する隷書石刻資料もあった【鄭州市博物館】古代石刻芸術陳列室で造像記の題記や集帖原石を調査した【西安博物院】漢時代や北周時代の文字資料を中心に調査した。史君墓の石棺表面に刻される画像の確認作業を行った【咸陽博物館】秦漢時代の石刻資料を調査した【洛陽博物館】古代から隋唐までの資料を調査した。洛陽の運河に関する情報を得られた【新郷博物館】石刻拓本全套本展示室で碑刻の大きさ等の調査を行った【国家博物館】国家博物館収蔵の金石資料が採拓されていることを確認した【瑠璃廠、書店】中国南北朝時代の文献資料を複数調査した。 2.学会発表:平成27年10月10日の全国大学初老学会横浜大会において「隋代に見られる墓誌銘についいて」と題する発表を行った。論の中で、隋代の隷書名品資料は河南省洛陽を中心に、楷書名品資料は陝西省西安を中心として作成されていることを突き止め、その理由が、南北朝時代の出身者、風土、前時代からの技術力の流入等が考えられることを指摘した。 3.文献整理:現地取材で得られたデータを追加し「隋代墓誌データベース」及び「隋代墓誌銘電子データを」の更新を行った。前者には740件の墓誌資料を、後者には30万字のデータを入力し、画像データにも簡便な利用が行えるようにした。
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