研究課題/領域番号 |
25370111
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
毛利 三彌 成城大学, その他, 名誉教授 (10054503)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アジア演劇近代化 / イプセン / 国際情報交換、ノルウェー / 近代日本演劇 |
研究実績の概要 |
2014年5月及び9月にオスロにあるイプセンセンターに出張し、センター所蔵の資料を閲覧し、またセンター長のProf. Frode Hellandとイプセンの近代性について意見交換を行った。9月にはノルウェー国立劇場が国際イプセン演劇祭を開催していたので、その舞台を見学し、演劇祭芸術監督その他とも意見の交換を行った。その成果は、部分的に、7-8月のイギリス、ワーリック大学で開かれた国際演劇学会年次大会において、Some problematic aspects of the early shingekiの表題の下に発表を行った。 日本の近代演劇の流れとその特質を、主要な戯曲作品の英訳によって明らかにすることを目的としたAnthology of Modern Japanese Dramaを、アメリカ、ピッツバーグ大学名誉教授Thomas Rimerとカナダ、ヴィクトリア大学教授Cody Poultonとともに編纂し、それぞれの時代の解説を載せた(これらの解説を並べることで、近代日本演劇史が浮かび出る)単行本をコロンビア大学出版局より、2014年4月に出版した。好評の批評も出ている。2013年度から企画中の、アジアにおける演劇近代化の論文集出版は、寄稿された論文にコメントをつけ、書き直しを要請中で、2015年秋に第2稿の締め切りを予定している。私自身の論文内容をなす東アジアの演劇近代化について、2014年6月の日本演劇学会(摂南大学)で講演した。 イプセン作品の日本的観点からの分析を、晩年作品の1つ「小さなエイヨルフ」について行い、2015年7月にウイーンで予定されていた国際イプセン会議で発表する計画であったが、この会議が来年に延期されたので、その内容を論文に仕上げ、オスロのイプセンセンタ―発行の国際誌Ibsen Studiesに投稿した。その結果を待つところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際会議における発表が行われており、企画中の論文集は、原稿寄稿がおおむね順調である。懸念事項は、原稿の書き直しが、どれだけスムーズに進むかどうかであるが、予定外の事態が生じた場合は、善処するつもりである。 私自身の日本のイプセン受容の著書執筆については、その資料収集は順調であり、次年度の執筆の進むことを期待している。
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今後の研究の推進方策 |
7月にインドで開催される国際演劇学会年次大会で、新劇の問題性について発表する予定であり、同月ベルリンでは、日本演劇の特殊概念についてのワークショップを主導することになっている。イプセン受容と日本の演劇近代化の原稿執筆を、できるかぎり進めたいが、その内容の奥深さのために、時間の足りなさを感じ始めている。完成できない場合は、再度の科研費申請を行いたい。
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