研究課題/領域番号 |
25370111
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
毛利 三彌 成城大学, その他, 名誉教授 (10054503)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 近代日本演劇 / イプセン受容 / アジア演劇 / 演劇近代化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的として3つ、すなわち①近代日本演劇成立の問題点を再検討する、②近代日本演劇におけるイプセン受容・研究の役割を明らかにする、③その研究成果を国際的関心に応えるものとして発表する、があるが、27年度は最後の目的、成果の国際的関心に応えることに重点をおいた。 日本演劇の近代化は、西洋演劇受容と模倣に始まったが、その問題点の一環を論文「The death of shingeki (new drama, or a new art theatre) in Japan」にまとめ、2015年7月にインドのハイデラバードで開催された国際演劇学会年次大会で発表し、アジア演劇研究者間の討論に付した。また、日本の近代演劇に大きな影響を与えたイプセンの作品論として「THE STRUCTURE OF THE INTERPERSONAL RELATIONSHIPS IN IBSEN’S LITTLE EYOLF: A JAPANESE PERSPECTIVE」を執筆して、国際イプセン研究誌『Ibsen Studies』に投稿し、受理され、2016年1月に出版された。 3年にわたる本研究の意義は、近代日本演劇史の独自性を解明するために、アジア的また世界的普遍性と日本的特殊性を併行して明らかにしようとしたことにあるが、その集成的内容を論文「Problematic Aspects in the Process of the Modernization of Japanese Theatre」にまとめ、私がconvenersの一人となっている国際演劇学会アジア演劇分科会編集の論文集に発表する予定である。これは、2016年3月に開催予定であった分科会のシンガポールにおけるコロキウムの延期にともない、出版も2015年度予定から2016年度へと延期となったが、掲載論文はほとんど集まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を、国内外の学会で発表することができたこと、イプセン研究については、20世紀にノルウェーで新しく編纂されたイプセン全集(各作品の膨大な註解を含む)を参照することで、世界のイプセン研究の最新情報を得ることができ、それを土台にして、作品の日本受容に関する論文を仕上げたこと、だが、国際演劇学会アジア演劇分科会の集まりが、2016年3月に予定されていながら、諸事情から延期となったことで、そこでの発表予定が遅れていること、などから、区分(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
①近代日本演劇の独自性を明らかにする近代演劇史の執筆をめざす。 ②日本のイプセン受容の特殊性を踏まえて、イプセンの各作品の分析を英語論文にまとめ、世界のイプセン研究に新しい点を加える、また、それらを著書にまとめる。 ③国際的な学会での発表を継続するとともに、今後は、後世代の研究を助けることに力を注ぎたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年に開催の予定だった国際イプセン学会の大会で発表するはずであったが、開催地ヴィーン大学の事情により延期されたこと、また、2016年3月に予定されていたIFTRアジア演劇分科会の開催を約していたシンガポールの大学が、これを2016年4月に延期したことのため、旅費滞在費などにあてていた助成金の使用ができなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の繰り越しされた助成金額は、2016年度に開催のIFTR分科会および年次大会への出張費として使用する予定である。
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