本研究は、概念芸術の世界的な作家である河原温について、その作品を制作手法に即して解明する研究としてスタートした。しかし、「作者の生身」の露顕を拒みつづけた作家の死によって、研究状況は一変した。新しい解釈による大回顧展や特異な展示が開催され、さらには遺族や友人たちによる資料や証言の開示が始まったからである。 本研究は、人類にとっての言語と形象の関係を究明するという視点を持ちつつ、書物形態とはなにか、郵便とはなにか、創造となにかを実践的に検討する。そうすることで、作家が行なった探究の現場に多角的に迫ろうとしている。
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