研究課題/領域番号 |
25370114
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
塩川 博義 日本大学, 生産工学部, 教授 (50187324)
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研究分担者 |
梅田 英春 静岡文化芸術大学, 人文・社会学部, 教授 (40316203)
皆川 厚一 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (60337748)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インドネシア / バリ島 / ガムラン / ゴング・クビャール / 音高 / セント / 有限要素法 / モード解析 |
研究概要 |
平成25年8月と12月にインドネシア・バリ島においてガムランの調査および測定を行った。まず、国立芸術大学が所有する新旧3セットのガムラン・スマルプグリンガン・サイピトゥを測定した。また、クルンクン県、バドゥン県およびデンパサール特別地区のガムラン・ゴング・クビャールを5セット測定した。そのうち、デンパサール特別地区のサヌールにあるタマン集落では、ガムラン・アンクルンおよび鉄製のガムラン・スロンディンも測定した。以前、タマン集落ではガムラン・プレゴンガンを測定しており、今回測定したガムラン・ゴング・クビャールの音高はそれらよりも、低く調律されていることが明らかになった。 また、バリ島の楽器工場において試作した鍵盤をもとに断面形状が台形と長方形のものをモデリングし、有限要素法を用いて3次元のモード解析を行い、それらの基本周波数の違いを比較検討した結果を日本音響学会で発表した。 さらに教育機関が所有しているガムラン・ゴング・クビャールと関わる6セットのガムラン・ゴング・クビャールの鍵盤楽器における基本周波数をセントで表し、それらの音高を分析し、比較検討したものを日本大学生産工学部研究報告の研究ノートに投稿した。これら6セット中3セットは1960年代にブラタ氏によって製作されたもので、そのうち2セットは20世紀後半においてバリ島で製作された多くのガムラン・ゴング・クビャールに影響を与えた教育機関SMKIおよびASTIが所有しているものである。他の2セットは20世紀初頭に製作されたものであり、そのうち1セットはブラタ氏の父親であるレゴッ氏が調律を行なったものである。もう1セットはASTIを卒業したスダルナ氏によって1999年に製作されたものである。これらを分析した結果、一番下の鍵盤における音高は、6セットいずれもC#あるいはDであることが明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の製作されているガムラン・ゴング・クビャールの調律における音高や音程の基準となっていると考えられる芸術高等学校SMKIおよび国立芸術大学ISIの教育機関が所有するガムラン・ゴング・クビャールの5音階のうち、一番下の鍵盤における音高が、いずれもC#あるいはDであることを明らかにできた。これらを基準として、今後、バリ島にあるガムラン・ゴング・クビャールの地域や時代による音高の違いを比較検討できるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ガムラン・ゴング・クビャールのルーツとなるガムラン・プレゴンガン、ガムラン・ゴング・グデおよびガムラン・スマルプグリンガン・サイピトゥの測定データを収集する。また、ガムラン・ゴング・クビャールの発祥の地とされているバリ島北部ブレレン県、そして、まだ、測定データが少ないバンリ県およびジュンブラナ県において、なるべく多くの調査および測定を行う必要がある。さらに、コンピュータ・シミュレーションによる解析においても、有限要素法を用いて3次元のモード解析を行い、ガムランの鍵盤楽器における調律方法を細かく分析していく予定である。 なお、沖縄県立芸術大学の教育補助嘱託員の杉山昌子氏、国立民族学博物館、先端人類科学研究部、機関研究員の吉田ゆか子氏、そして、バリ島の国立芸術大学ISIの講師であるイ・マデ・カルタワン(I Made Kartawan)氏に現地での研究協力者として協力していただく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者1名分のバリ島への渡航費用が生じなかったため。 次年度は、バリ島へ2回以上、渡航する機会を作り、より多くの調査データを収集する。
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