研究課題/領域番号 |
25370114
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
塩川 博義 日本大学, 生産工学部, 教授 (50187324)
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研究分担者 |
梅田 英春 静岡文化芸術大学, 人文・社会学部, 教授 (40316203)
皆川 厚一 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (60337748)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インドネシア / バリ島 / ガムラン・ゴング・クビャール / ガムラン・スマルプグリンガン / ガムラン・ゴング・グデ / 音高 / セント |
研究実績の概要 |
平成27年8月から9月および12月にインドネシアにおいて、ガムランの調査および測定を行った。8月から9月初旬においては、バリ島北部のブンクラン村およびタンブラン村にある古いガムラン・スマルプグリンガンの測定を行った。平成26年度にジャガラガ村のガムラン・スマルプグリンガンを測定したので、これらによって、北部にある古いガムラン・スマルプグリンガン3セットの測定データを採集したことになる。今後、これらを詳細に分析して、南部にあるガムラン・スマルプグリンガンと比較検討していきたい。 また、タンブラン村のガムラン・ゴング・クビャールも測定をした。さらに、デンパサール特別地区にあるプナティ村とギャニャール県にあるマス村のガムラン・ゴング・クビャールも測定できた。 12月には、ロンボック島で、古いガムラン・ゴング・クビャールを3セット測定した。そのうち、2セットは、いずれもガムラン・ゴング・グデで使われるジョンコックを持っており、18世紀に製作されたものといわれている。これまで、古いガムラン・ゴング・グデは、デンパサールのペメチュタン王宮にあるものしか測定できていないので、とても貴重なデータである。 このように、ガムラン・ゴング・クビャールのルーツとなる古いガムラン・スマルプグリンガンとガムラン・ゴング・グデのデータを得ることができたことは、今後、ガムラン・ゴング・クビャールの変遷および地域による違いを考察する上で、とても、重要なことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガムラン・ゴング・クビャールのルーツとなる古いガムラン・スマルプグリンガンの測定データを収集できた。特に、北部にあるおそらく18世紀あるいは19世紀初頭に製作されたと思われるジャガラガ村、ブンクラン村およびタンブラン村が所有するガムラン・スマルプグリンガンには、いずれもジェゴガンがないことが明らかになった。また、ロンボック島で、やはりガムラン・ゴング・クビャールのルーツとなる18世紀初頭に製作されたと思われる古いガムラン・ゴング・グデの測定データを収集できた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、18世紀初頭に製作されたと思われる古いガムラン・ゴング・グデが演奏されるロンボック島の9月に行われる儀式に参加する予定である。そして、ジュンブラナ県テガルチャンクリン村およびタバナン県パンクーン村のガムラン・ゴング・クビャールの調査を行いたい。また、ガムランのルーツを確認するために、青銅文化圏であるカンボジアへ行き、インドシナ半島で使われているゴングなどの青銅楽器や、楽器が描かれている遺跡の壁画なども調査したい。さらに、コンピュータ・シミュレーションによる解析においても、有限要素法を用いて3次元のモード解析を行い、ガムランの鍵盤楽器における調律方法を細かく分析して、発表していく予定である。 なお、今年も、吉田ゆか子氏、イ・マデ・カルタワン(I Made Kartawan)氏、そして、新たに、東邦音楽大学 非常勤講師 博士(芸術) 鈴木良枝氏に現地での研究協力者として協力していただく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者1名分のバリ島への渡航費用が生じなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、バリ島へ2回以上、渡航する機会を作り、より多くの調査データを収集する。
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