研究課題/領域番号 |
25370123
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研究機関 | 有明教育芸術短期大学 |
研究代表者 |
前原 恵美 有明教育芸術短期大学, その他部局等, 教授 (70398725)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 三味線音楽 / 常磐津節 / 豊後系浄瑠璃 / 祭礼 / 常磐津林中 |
研究実績の概要 |
1)「吉原細見」の補足調査を行い、調査自体はほぼ終了した。ただし、天理大学附属天理図書館の調査に関連した複写には相応の時間が必要であるため、複写資料の到着する次年度5月以降に、公開に向けたデータ整理と概説の執筆を進め、簡易印刷またはウェブサイトによる公開を目指している。 2)祭礼資料については祭礼番付の実態調査を進める中で、とりわけ神田祭と常磐津節演奏家に関係の深いことがわかり、文化資源学会の公開講座「江戸の祭礼と芸能」(2015年3月、東京大学本郷キャンパス)に参加するなどして研究情報の収集を行った。次年度、神田明神が遷座400年を迎え、遷座400年記念・資料館特別展「大江戸・神田祭~神田祭の博物誌」展が開催されるので、これを機にさらなる情報収集を行い、次年度に神田祭と常磐津節の関連性についてまとめた拙論を執筆すべく準備を進めている。 3)インタビュー調査および書き起こしについては、録音およびインタビューの書き起こしを進めるとともに、補足調査も続行した。また、インフォーマントと調整しながらインタビューも再開した。 4)盛岡先人記念館所蔵の浄瑠璃本を用いた常磐津林中の音楽的研究を進め、その成果を「常磐津林中の語った《乗合船恵方万歳》―盛岡市先人記念館所蔵林中本による―」(有明教育芸術短期大学紀要第6号、2015年、pp.125-141)に発表した。 このほか、本助成研究の成果として、研究発表「常磐津節《槍持奴》・《月の辻君》復曲の試み―楳茂都流に残された三味線譜による―」(東洋音楽学会東日本支部第81回定例研究会、東京藝術大学、2014年12月)でグループ発表を企画し、研究発表および実演を行った。また、本助成研究に関連してパネルディスカッション「日本音楽研究における在外資料をめぐる諸課題と可能性」(日本音楽学会第65回全国大会、九州大学大橋キャンパス、2015年11月)にパネリストとして参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「吉原細見」調査に関連して、スケジュールの問題から、天理大学附属天理図書館の複写資料の到着が次年度となったため、これを受けて公開に向けた作業を進めていかなくてはならない。 また、インタビュー調査については、インフォーマントとの調整を行いながら、インタビュー調査とこれまでの調査の整理を並行しているが、調整には慎重を期しているため、必ずしも順調とは言えない部分がある。
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今後の研究の推進方策 |
1)「吉原細見」については、追跡調査に若干の遅れはあったが、公開に向けた資料およびデータ整理も並行して進めてきたので、追加資料の到着を待って最終的な整理と概説の執筆を進めていく。 2)祭礼資料については、神田祭の資料を中心に常磐津節との関連に絞り込んで調査・分析を進める。 3)インタビュー調査については、引き続きインタビュー、書き起こし、補足調査を並行して進める。 4)そのほか、上記の研究成果を公開するため、執筆およびウェブサイトでの公開準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査のスケジュール調整が難航したため、その分、「吉原細見」や林中本の分析調査費に充当したが、それでも若干の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はインタビュー調査を優先的に設定し、相応の謝金を支出予定である。
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